「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

夏に楽しみなこと
佐藤 拓雄
(2025/07/25)


若きトランペット奏者・児玉隼人さんのリサイタルを楽しみにしています。明日、7月26日です。

児玉さんは、2009年生まれの16歳。
ちょうど1年前の去年の今頃にも、仙台フィルと共演したのを聴きに行きました。
【写真】はその時のもの(この日はカーテンコールの撮影が許可されていました。ただし、児玉さんはここには写っていません)。
15歳(当時)とは思えない音色と技術。この年齢でなぜこれほどの演奏ができるのか、言葉を選ばずに言えば、理解できません。かと言って、老成しているところは微塵もなく、若さ全開の瑞々しさにあふれています。

私は少しばかりトランペットをやったので、その経験で言えば、トランペットという楽器は、とても難しい楽器(と私は思っています)で、そもそもきれいな音を出すこと自体が、なかなかできるようにならないものです。
と同時に、(一流奏者の)音色は、これほど美しい楽器もないとも思っています。

何度かここにも書きましたが、私は、トランペットで音楽大学を目指して挫折した経験があります。
小学校低学年の頃、父が買ってきたあるトランペットのレコードを聴いて、全身に電流が走ったというか、これだ!と思ったのです。
その時から、トランペットの音色は私の永遠の憧れ。理由などありません。好きだから好きなのです。
好きこそものの上手なれとは言いますが、私の場合、音楽で身を立てようという挑戦に挫折し、残念なことにトランペットは私の中で永遠の心の傷にもなってしまいました。
それでも、楽器を離れて30年以上経った今も、聴くことだけは離れられません。トランペットの音色で「傷」がうずくということはなく、美しい音を聴きたいという欲求が勝りますし、音色を聴けばたちまち至福の時が訪れます。

そんなわけで、明日、児玉隼人さんの音色に酔いしれてきます。

次は飯田さんです。

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