「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
あたたかくなる話
佐藤 拓雄
(2008/02/22)
渡り鳥の北帰行が始まったり、桜の開花予想が発表されたり、春が近づいていることを感じるニュースもありますが、まだ風は冷たく、やはり冬です。そんなわけで、今回の「アナ・ログ」は、「あたたかくなる話」をお題にしてみました。
さて、またまた、「出張でのひとコマ」シリーズです。今回は、今月の東京出張。
宿泊したホテルは、築地市場のすぐそば。となれば、市場の中の美味しいものを食べたくなるのが人情というものです。しかし、日中はずっと仕事、夜も予定がある。与えられた時間は朝の数時間しかありません。朝、ちょっと早目に起きて身支度を済ませ、築地市場へ向かいました。
仙台ほどではありませんが、朝の空気はかなり冷たく、東京もさすがに冬です。白い息を弾ませ、行列のできる寿司屋には目もくれず、目指す店はただ一つ、小さな洋食屋。どうしてもこの店で食べたいのでした。席の数は10ちょっと、間口も広くなく、うっかりすると通り過ぎてしまうような小さなお店ですが、うまい具合に、待つこともなく、すぐ席に着くことができました。
一年ぶりの再訪。店に入るや否や注文したのは、「マグロの尾肉のステーキ」。食事のメニューを決めることに関しては、いつも迷いに迷う僕ですが、この日は全く迷いなし。これを食べたくて食べたくて…。
「マグロの尾肉のステーキ」とは、文字通り、マグロの尾の部分の肉をステーキにしたもの。直径15cmほどの尾の肉を骨ごと輪切りにしてステーキに。厚さおよそ3pの厚切り尾肉を、(多分)、ワイン、醤油、バター、塩、コショウという、シンプルイズベストなソースにマヨネーズ、好みで辛子をちょっと添えて、いただきます。バターとワイン、そして香ばしい醤油の香りが、湯気とともにフワッと香ってきます。あー、書いているだけなのに、よだれが出てきそうです。ゴクリ。アツアツのホクホクで脂が乗ってて、もうウマいなんてもんじゃありません。ご飯は進むし、付け合せの千切りキャベツに、残ったソースをたっぷりひたひたにからめて食べる、これも最高です。
なんという満足度の高い朝食。一日分のエネルギーをもらい、冷たい風の中を、身も心もほっかほかになって、仕事へ向かいました。
次は、寺田アナウンサー。背中にカイロを貼る話ではないはずです。