「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
あたたかくなる話
(2008/03/07)
先日いつも通り出勤すると、自分のデスクの上に一通の手紙が置いてありました。仕事以外で、封書の手紙をもらうのはいつぶりでしょうか。差出人を見ると、懐かしく見覚えのある名前・・・頭の中で記憶を巡らせ、ぱっと、目の前が明るくなりました。小学生の時に仲良しだった佐藤君でした。僕は5年生の時に転校してしまって一切会っていなかったので、15年ぶりの音信。驚きながらも心躍らせ封を切り、出てきたのは一枚の便箋と小学生当時の写真(赤い帽子が僕。右隣の白い帽子が佐藤君)。それにしても顔まん丸だな僕!
手紙には、話が巡り巡って僕がアナウンサーになったことを知ったこと。佐藤くんは小学校の教師をしていて、今社会科の授業でテレビを題材に勉強していること。その中でアナウンサーについて聞きたいことがあるので連絡が欲しいと書いてありました。
その日の夜、すぐに電話しました。15年ぶりの再会。声を聞いた途端、あまりに懐かしくて、感動で少し声が上擦ってしまいました。お互いの近況報告と、本題を話し終えたら、電話は2人だけの同窓会に。出るは出るは当時の話。こんなことがあったなぁ!こんな奴がいたなぁ!思い出しては2人で共感し、懐かしみ・・・
色褪せていた思い出が再びカラフルに色づいていく、ずっと閉まっていた記憶の戸棚が、次々と開いては思い出が飛び出してくる、そんな感じでした。2時間ぐらい電話していたでしょうか、頭の中は15年前にタイムスリップしていました。
僕は転校してしまったので、他の友達のことも全く知りませんでした。聞くと15年経った今、皆様々な道を歩んでいました。結婚した人、仕事をしている人、出世した人・・・佐藤君も、皆も、悩みながらも精一杯頑張っていました。
最後は皆久しぶりに会いたがっているから、その日を楽しみにお互い頑張ろうという結論に達し、電話を切りました。
縁とは不思議なもの。いつ、どこでまた繋がるかわからないものですね。近い将来、本当に皆で集まれたら良いなと思います。私事ですが、旧友の便りに、心温まった話でした。