「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

どうしても捨てられないもの
寺田 早輪子
(2008/03/10)


本日からの新テーマ『どうしても捨てられないもの』。
1番・サード・寺田・背番号31 です。
さて、私がどうしても捨てられないのは、肩から下の髪の毛。捨てられない、と言うより、「どうしても、切り捨てられないもの」ですね。この春は、お人形のようなボブスタイルが流行るとか…。でも、「ボブにしようかな」と思っても、あるトラウマのせいで、やっぱり切れません。
私は3歳くらいまで、尾てい骨付近まで伸びるストレートロングヘアでした。
ある日、保育所で、仲良しのミカちゃん&エミちゃんと「パーマ屋さんごっこ」をすることに。ジャンケンで勝った順から、「美容師役」、「お客さん役」、「順番を待っているお客さん役」を決めます。「ジャーン・ン、ケーン・ン、ポイ!」。真っ先に勝ったのは、私。選んだのは「お客さん役」。「美容師役」はミカちゃん。最後まで負け続けたエミちゃんは「待っているお客さん役」。ミカちゃんは、普段から、友達の髪を三つ編みにしたりするのが大好き。ゲットした「美容師役」にウキウキでした。
そんなミカちゃんが言ったのです。「先生に見つかると怒られるから、押入れの中でパーマ屋さんごっこをしよう!」と。
押入れの中の3人。それぞれの役の配置につく。私はミカちゃんに背を向けて座る。エミちゃんは待っている様子をかもし出すため、絵本を読みだす。
そして、ミカちゃんが手にしたのは、…本物の「はさみ」。

ミカ『お客さん、今日はどうしますか?』
サワコ『おまかせするわ。』
ミカ『かしこまりました~!』
エミ『・・・』
ミカ『ジョキ!』

…かくして、私のロングヘアは、モンチッチのようなベリーショートに。

…今でも、忘れられません。
押入れから出た瞬間、目が合った保育所のユミコ先生の、悲鳴
その日の晩、迎えに来た父の「泣き出しそうな、怒り出しそうな、でも、開いた口がふさがらなくて、何も言葉が出てこないよ」といった、顔。
家に帰ると、母は、激怒。
翌日、謝りに来たミカちゃんのママも、泣いていました。

大好きな人たちを悲しませた、私のショートヘア…。
ああ。やはり、ボブスタイルが流行っても、髪は切れそうにありません。

続いては…、ショートヘアがステキです。林アナウンサーです!

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