「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

怖い話

(2008/08/25)


写真がまず怖いですね。恐るべきメイク落とし。
去年のある金曜日、スーパーニュースでのこと。スポーツコーナーを終え、あとはエンディングでのスポルたんの告知を残すのみ。佐藤アナから『明日はスポルたんがあります、板垣さん?』とふられたら、番組内容が書かれた原稿を伝えます。
その日もいつも通り、スタジオの自分の席に座り、エンディングまで出番を待っていました。隣では佐藤アナと林アナがまさにOA中。そして放送も終盤、林アナが最後のニュースを伝え始めました。これが終われば佐藤アナからのフリがきます。そろそろかと、最終確認のために告知の原稿を見ようとしたその時です!
『あれ?な、ない!』
ないんです。持ってきたはずの原稿が。完璧に思い違い、忘れてきました。全身の血の気が引き、目の前が真っ白に。まずい!やってしまった!どんな内容だっけ?お、思い出せない!焦りに焦り一人動転する私。しかしそんなことは言っていられません。もう10秒もすれば林アナが読み終え、事態を知るはずもない佐藤アナは快く私に出番を下さります。

『さて明日はスポルたんです!板垣さん!』
『えー、わかりません』

そんな答え許されるわけありません。
『僕はさっき何を読んだー!思い出せー!』
脳内に緊急指令です。脳細胞総動員、フル回転で頭の中の引き出しを開けていきました。しかしようやく出てきたのは記憶の一片だけ。ゲストは岩本輝雄さんでベガルタ特集。あとはなぜか思い出せない!と思ったら佐藤アナからフリが!もう行くしかない!

『明日はスポルたんです。板垣さん?』
『ゲストに岩本輝雄さんを迎え、ベガルタの試合を一緒に振り返ります。
えー・・・・・・そ、そのほかのスポーツも盛りだくさんの内容でお伝えします!』

我ながら何と安直、何とベタな取り繕い。盛りだくさんって!とはいえ最悪の『わかりません』は免れ、放送は無事終了。しかし佐藤アナが苦笑いで私に一言!
『随分ベタな言い回しだったね』
はい、すみません。仰せの通りです。原稿を忘れたことを理由にできるはずもなく、弁解の余地なしでした。それにしてもあの瞬間は本当に怖かった。頭真っ白のまま時間が迫って来る恐怖といったらもう・・・二度と体験したくないです。準備の大切さを身をもって学んだOAの怖い話でした。
次は金澤アナ!どんな『怖い』でしょう?

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