「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
私のイチおし・映画編
金澤 聡
(2008/10/22)
私の映画鑑賞全盛は20代前半の頃で、ビデオ・DVDを含めて1ヵ月15本くらいのペースで見ていました。
映画に激しく傾注していったのは、自分の人生では経験できないことを疑似体験でき人間性に深みが増したのではないかと一瞬にして錯覚させてくれたことと、日々ストレスで抑圧されていた精神を浄化してくれるようなカタルシスを得られたためだと思います。
その頃好きだったのは、「とんがった」俳優が出演している映画です。「とんがった」というのはもちろん見た目ではなく、俳優のキャラクターであったり演技のキレであったりするんですが、あくまで私基準の表現です。
例えば、1995年デヴィッド・フィンチャー監督作品『セブン』の猟奇連続殺人事件犯役と、同年のサスペンス作品『ユージュアル・サスペクツ』の殺人事件で唯一生き残ったヴァーバル役を演じた、ケヴィン・スペイシー。当時、相当とんがっていてこの先も楽しみだなあと思っていたら、その年アカデミー助演男優賞を獲得して密かに喜んでいたのを覚えています。(「とんがった」をご理解いただけたでしょうか?分かりやすい例で言うと、月9ドラマ『CHANGE』で総理付けSP役をされていた大倉孝二さんのような感じでもあり、ちょっと違うかな、もっともっと硬派な感じでもあったり、そんな結構あいまいな基準です。すいません。)
中でも、私を「とんがった」俳優好きにしてくれたのは1987年作品『遠い夜明け』に出演した、デンゼル・ワシントン。1970年代、アパルトヘイト下の南アフリカ共和国の話で、デンゼル・ワシントンは殺害されてしまう黒人解放活動家の役。物語は白人記者ドナルド・ウッズとの交友が描かれている内容なのですが、そのセリフのやりとりも「とんがって」いて、人間同士の差別の根の深さを考えさせられた映画です。(これは学生の頃ビデオで観ました)後々知ったのですが、とんがり俳優のデンゼル・ワシントンは1989年『グローリー』でアカデミー賞とゴールデングローブ賞の助演男優賞を受賞していました。その当時のベストとんがり俳優だと思います。
秋の夜長にまた「とんがった」俳優探しでもしてみようかと思う、今日この頃です。
次回は、梅島アナウンサー。思い出のある映画だそうです。たぶん、とんがった話ではないと思います。