「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

2008年総決算

(2008/12/20)


そうですねぇ、2008年は『通算成績は負け越し』でしょうか。何のことかわからないと思いますので、説明致しますと・・・
『勝負できるアナウンサーになれ』と、1年目の頃から先輩アナウンサー、ディレクターにいわれてきました。始めは意味を理解できませんでしたが、3年経った今、しゃべりに勝負をかけろということだと、僕なりに解釈しています。
アナウンサーの仕事は、特に生中継で感じることですが、逃げようと思えば、妥協しようと思えば、自分次第でいくらでもできてしまうんですよね。例えば駅伝の中継所の実況なら、順位整理が実況者の仕事です。ですから「誰々が何位でやって来ました。何区の誰々にたすきを渡します」と、淡々と順位とランナーを伝えれば極端な話いいわけです。
ただ、それでは僕が現場にいる意味がない。レース展開は?中継所でたすきを待つランナーの心境は?中継所に飛び込んでくる前の区間ランナーの表情は?現場にいてわかること、伝えられることはたくさんあるはずなんです。中継所での持ち時間、しゃべられる時間は大体3分程度。取材や準備できる時間も短いので、文章を瞬時に組み立てるのは難しいかもしれないけど、その中で集約し、中継所の今を伝えられるか。そこが勝負だと思っています。
スポーツ中継に限らず、伝える仕事、全てに通ずることです。考える時間がなかろうが、与えられた時間内でどうすればよりわかりやすく、より面白く伝わるかを考え、言葉に出せるかがアナウンサーの勝負だと、3年間を通じて信念としています。
今年は特に中継に多く携わった年でした。楽天キャンプ、久米島からのリポート。89ERS、楽天戦、ベガルタ戦のベンチリポート、高校バレーの実況、岩手・宮城内陸地震、駅伝の中継所。時間に追われながら、時間がない中でも情報を伝えなければなりませんでした。
ただその中で勝負をかけて納得いく結果が出せたかというと・・・負けていると思います。妥協しているわけではありませんが、もっとわかりやすく伝えられたんじゃないか、無難に表現したんじゃないかと反省の連続でした。ですから、通算成績、負け越し。
2009年はさらに勝負をかけ、1勝でも多く挙げたいと思っています。何だか偉そうに、固い話になってしまいましたが、自戒の意味を込めて、今という瞬間を的確に伝えられるよう、来年も頑張ります。
お次は林アナです。

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