「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
寒い日のお仕事
寺田 早輪子
(2009/02/03)
真冬の海に潜ったことはありますか?2005年1月。この年の私の仕事初めは、スーパーニュースの「潜水取材」でした。潜った場所は、冬のダイビングスポット・宮城県南三陸町の志津川湾。水深10mのポイントで、冬にしか見られない「ダンゴウオ」を探すという企画でした。
「ダンゴウオ」とは、体長2cmほど、コロコロと丸くてかわいらしい魚です。透けるような赤い体は、まるで、イチゴゼリーのよう。図鑑で、初めて見た時は、ドラクエの「スライム」を思い出しました。ダイバーの間では「海底のアイドル」と呼ばれるほど、ファンの多い魚で、ダンゴウオに会うためだけに、関東地方などから来る方もいらっしゃいます。
…しかし、正月が明けたばかりの海水温は約10度。夏の「ウェットスーツ」では、とてもじゃないけれど寒いので、セーターを着て、フリースを着て、その上に「ドライスーツ」を着込んで潜ります。フードもしっかり被るので、「もじもじ君」状態に…。
気合を入れて、海の中へ!…潜ってしまえば、「水温10度」は意外と温かい。だって、船の上…、つまり、外気温が「1度」なのですもの…。
ただ、ドライスーツは着ていても、むき出しの「顔」が切れるように痛い…。寒すぎて(痛すぎて)レギュレーターをくわえた唇は、通常の2倍くらいの「ポッテリ唇」に…。
これだけの思いをしたのに…、普段の行いが悪いのか、結局、私は「ダンゴウオ」に会えませんでした。志津川のこのポイントで「ダンゴウオ」に会えないことの方が珍しいそうです…。それでも、体長6センチほどで、オレンジ色、口が「ニュー」と伸びた「クチバシカジカ」の撮影には成功!とてもかわいらしかった。真冬の海で見つけた、温かく、小さな灯火のようでした。
暖かい南の海でのダイビングも大好きですが、寒い日の冷たい海の中でしか見られない光景に…、「ダンゴウオ」に、機会があったら、気合いを入れなおして、また会いに行きたいです。
★写真左は私。真ん中はジュニくん。右は早坂アナ。この『記念撮影ボード』は、青葉区上杉5丁目の仙台放送本社1階「アゴラカフェ」にございます。遊びに来てね!
続いては、写真右の早坂アナウンサーです!