「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

一番緊張したこと
金澤 聡
(2009/02/23)


いやいや、放送時は緊張してますよ。いつも。手に汗かいてますから。相当小心者です。このエピソードを見てもらえば分かると思います。

小学生のとき、遠足のおやつは300円以内でした。
(今はいくらなんでしょう?そもそもそんなルールはないのでしょうか?)
当時「バナナはおやつに入りますか」はお決まりの質問でしたが、300円でどれだけ多くの種類と量を買えるか、日曜日に近所の駄菓子屋さん、スーパーをはしごしてよく吟味して買いました。15種類以上でぴったり300円のとき、清涼感に近い感動を覚えたものでした。
ある年、駄菓子屋さんでぴったり300円分を購入したとき、お店のおばちゃんがおまけで10円のチョコをくれました。ラッキー!と大喜びし、迎えた遠足当日の朝。
当時の担任の先生が急遽『おやつチェック』を敢行するとおっしゃるのです。僕はもちろん300円分を購入しましたが、おまけの分を入れ額面だけで計算すると310円です。
でも実際に払ったのは確かに300円です。この差額をどう説明したらいいだろうかと考え始めたらなんだかもの凄い緊張感が襲ってきました。自分は潔白なのに、ルールを逸脱したとして有罪判決を受けてしまうのではないだろうかと。
いよいよチェックの順番がまわってきました。
しどろもどろに説明しました。「お店のおばちゃんを、おばちゃんが、おまけに、おまけをしてくれた、くれて310円に…」
『そうですか』とあっさりと先生は過ぎ去っていきました。
私の人生の格言が生まれました、"おまけを正直に言わずは泥棒の始まり"
人間正直が一番です。

次回は、正直者の梅島アナウンサーです。

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