「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

春といえば
寺田 早輪子
(2009/04/16)


「ハルばあちゃん」。
明治35年生まれの、私の祖母は、名前が「ハル」といいます。

秋田県大館市の「曲げわっぱ」を作る家に生まれ、結婚して鷹巣町に…。私の父は、ハルばあちゃんにとって、五人目の子供でした。

14年前、ハルばあちゃんは、94才で天国に…。

私が幼稚園に上がる頃、ハルばあちゃんは、家の中で転んでしまい、それからずっと寝たきり状態でしたが、とても小さな、かわいらしいおばあちゃんでした。体の大きさもそうですが、話す声も小さく、いつも微笑んでいた思い出があります。


時々、ハルばあちゃんは、病院のベッドの上で、手をひっくり返す動作をしていました。のちのち、母に聞いたのですが、ハルばあちゃんは、若い頃、趣味で、よくお煎餅を焼いていたそうで…。きっと、お見舞いに行った私にお煎餅を焼いてくれていたのでしょう。


ハルばあちゃんの介護は、嫁にあたる私の母が、一手に担っていました。
寝たきりが長く続き、認知症の症状も出てきた頃、ハルばあちゃんが、私に、こっそり言った言葉があります。

「あなたの母さんには、本当に申し訳ない。感謝しているよ。本当に良くしていただいて…。あんたの母さんは、本当にすごいよ。」

孫の私の名前が思い出せない様子でしたが、病床のハルばあちゃんと、きちんと会話を交わしたのは、それが最後だったと記憶しています。

仕事をしながら、介護を続けた母。
感謝の気持ちで最期を迎えたハルばあちゃん。

二人のような優しい気持ちを、私も持って生きていきたいと思います。

★写真は、本格的な春が来る前に…、
冬に撮れたナイスショットを載せちゃいます!
(青根温泉にて)


続いては…、新番組「あらあらかしこ」!頑張っています!原アナウンサーです!

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