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【スリムな体型を目指すなら1975年ごはん!?】第5回 1975年代のごはんはストレス知らず

2015/06/12 10:00


1975年の食事のすぐれた特徴は、食材の数が多いことだ。

私の考える最も健康効果の高い食事法は、「少しずつ、いろんなものを食べる」。

それが一番内臓にかかるストレスが少なく、体にいい。


1960年代までの和食の大きな弱点は、食材が少ないことだった。食材が少なければ、それだけストレスは大きい。1975年の食事は、欧米食を程よく取り入れることで、弱点を克服した。


しかし、今はまた、食材が少なくなってきている。その原因として、欧米化が行き過ぎて欧米の食材に偏っている。


私が用いる「ストレス」とは、「無理をしてがんばっている状態」という意味である。

心と同じように、体も「無理をしてがんばる」とストレスを感じる。


例えば、筋トレなどの運動でも、筋肉に負荷がかかる。この負荷がストレスだ。

筋トレも適度ならいいが、度を越えると、筋肉を痛める原因になる。


これらと同じように、食事の健康に与える影響も、「ストレス」という視点から捉えることができる。心や体と同じように、内臓にも強いストレスが加わると、健康が損なわれる。


アメリカ食を食べると、肝臓や腸などの消化器官は、一生懸命がんばって、消化・吸収しなければならない。「がんばる」ことは、臓器にとって、大きなストレスということだ。


一方、偏りのない食事は、臓器ががんばらなくても、すんなりと消化・吸収ができる。体が無理をしなくても済む。つまり、ストレスが少ないのだ。健康のためには、内臓に無理をさせないことが、大事なのである。


また、「少しずつ、いろんなものを食べる」ことには、腸内細菌も関わっていると考えられる。


人間の細胞は60兆個であるが、腸内細菌は100兆個であり、最近はその細菌の大部分を計測でき、腸内細菌の種類とバランスが、健康に大きく関与していることが分かってきた。


腸内細菌の餌は穀物や野菜に含まれる食物繊維などだが、細菌の種類によって好物が違い、腸内細菌を育てるためにはいろいろな食材を食べたほうがいい。



来週は「なぜ、神話は滅びないのか?」です。

執筆者:東北大文学研究科 山田仁史

配信日時:6月15日(月)午前10時ごろ予定 



【プロフィール】

都築 毅

1975年生まれ。愛知県豊田市出身。東北大学大学院農学研究科博士課程を修了し、2008年から東北大大学院農学研究科准教授。専門は食品機能学。趣味はフルート。