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【知って納得! くり返し発生する地震の謎】 第2回 なぜ地震はくり返すのか?

2015/07/21 10:00


昨日は、規則的にくり返す岩手県釜石沖の地震を紹介しました。くり返し地震は、なんだか単純そうで、地震がどうして起こるのかを知るために役立ちそうです。


そして、その知識を利用すると実用的な地震の予知に近づけるかもしれません。


下の図は、釜石沖のくり返し地震の際の仙台の波形(ゆれ)を示しています。




これらの波形はとてもよく似ています。普段地震が起こった時、おおきなゆれ、小さなゆれ、ガタガタとした小刻みなゆれ、フラフラとしたゆっくりとしたゆれ、と色々なパターンがあることに気付かれている方も多いとおもいます。上の図は、地震計で正確に記録してみても、ほぼ同じといってよいようなゆれ方をする地震があることを示しています。このようなとてもよく似たゆれはどうして起こるのでしょうか?


地震は地球のなかの割れ目である断層が急激にすべって(ずれて)波を出す現象です。人の声(音波)が、同じ場所で同じように喋らないとまったく同一には聞こえないのと同じで、同じ波形はまったく同じ場所が同じようにすべらないと観測されません。


したがってこの波形は、同じ場所がくり返しすべったことを意味しています。


つまり、地球の中に地震を起こす決まった場所があり、そこが急激にすべって起こる地震がくり返し地震だったのです。


では、そもそも地震を起こす“すべり”というものはどのようなものなのでしょうか?


このような急激なすべりを起こす原因は地球の中でかかっている力です。地球の内部は完全には冷え固まっておらず、ゆっくりと対流しています。地球の表面を覆っている岩盤であるプレートがこの対流により動こうとするため、力がかかります。その力がばねを押すようにたまっていき、あるとき断層に沿って一気にすべり解放されるのが地震と言えます。


多くの地震があるなかで、同じ場所でくり返す地震はどのように起こっているのでしょうか?地震を起こす決まった場所とはどのような場所なのでしょうか?次週はその謎について考えます。



次回は「第3回 アスペリティとくり返し地震」です。

配信日程:7月22日(水)午前10時ごろ配信予定



[豆知識]ちょっと詳しい地震の情報を得るには?

本Webアプリの地震・災害・気象のページのほか、下記のページでも最新の地震の状況や地震に関す知識を得ることができます。


●地震の活動状況(気象庁):最新の地震情報

http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/index.html


●防災地震web(防災科学技術研究所):最新の地震情報

http://www.seis.bosai.go.jp


●J-RISQ地震速報(防災科学技術研究所):市区町村ごとの揺れの状況など

http://www.j-risq.bosai.go.jp/report/


●地震に関するFAQ(日本地震学会):地震に関するよくある質問と回答

http://www.zisin.jp/modules/pico/index.php?cat_id=6




気象庁

http://www.jma.go.jp/jma/index.html


防災科学技術研究所

http://www.bosai.go.jp


日本地震学会

http://www.zisin.jp



【プロフィール】

内田 直希 (うちだ なおき)

東北大学大学院理学研究科 地震・噴火予知研究観測センター助教

長期間にわたる地震の観測データから、沈み込み帯の地震発生メカニズムの解明に取り組んでいる。

最近の著作物に『繰り返し発生する地震の規模はどのように決まるのか」(地震本部ニュース, 7巻第3号, 2015)、『特集 東北地方太平洋沖地震から3年 発生前に起きていたスロースリップ」(なゐふる, 97号, 2014)など。

趣味 自然鑑賞、温泉、陶芸、読書