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【米ぬかから生まれる再生可能エネルギー!?】 第3回 バイオマスの活用術
2015/07/29 10:00
実は、バイオマスは食やエネルギーとしてだけでなく、繊維や塗料、洗剤などの化成品の原料としても使われています。例えば、衣服は始め木綿や麻、絹などのバイオマスから作った天然繊維を用いていました。
しかし、石炭や石油からナイロンやポリエステルなどの合成繊維を作る画期的な技術が開発されて以来、合成品の生産量は年々増加し、現在は全繊維の6割を超えています。
洗剤やシャンプー、リンスなども同様に、始めは植物油から作られていました。しかし、石炭や石油から合成できる技術が開発されてからは、合成品の方が多く使用されるようになり、現在は全洗剤使用量の8割程度となっています。
化成品以外にも、高い抗酸化活性を持ち食品添加物として利用されているビタミンEにも、天然品と合成品があります。
光合成生物によってのみ作られるビタミンEを、人工的に合成することに成功しているのです。
実際、世界のビタミンE生産量は天然品が5,000トン、合成品がその10倍の50,000トンとなっています。用途は、医薬用や飼料用は合成品が中心、酸化防止剤や健康増進には天然品が中心、化粧品用は両者が使用されています。どちらも十分に安全試験が行われており、安心して利用することができます。
このように私たちの身の回りには、同じ製品ではあるものの、原料としてバイオマスを使っているものと、石炭や石油を使っているものがあるのです。今後、二酸化炭素排出量を削減していくためには、これらの製品をなるべくバイオマスから生産することが望まれます。技術的には可能ですが、再生可能エネルギーの場合と同様に、製造コストが高くなるため、消費者がどちらを買うのかが重要な因子となります。
また、バイオマス由来の製品を積極的に使っていくためには、その原料となるバイオマス自体の生産量も増やしていく必要があります。それには、一次産業(農林水産業)と二次産業(工業)の連携が重要です。
バイオマスの食品としての利用状況や廃棄物発生状況をしっかりと把握した上で、食との競合を起こさないような利用システムを考えていく必要があります。
次回は「第4回 米ぬかから食用油とスーパービタミンEと燃料を作る!?」です。
配信日程:7月30日(木)午前10時ごろ配信予定