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【米ぬかから生まれる再生可能エネルギー!?(動画あり)】 第5回 バイオマスの可能性
2015/07/31 10:00
↑動画を再生すると実験の様子を観ることができます。
スーパービタミンEは一体どこに消えてしまったのか? 慌てて検討したところ、バイオディーゼル変換反応の触媒である「イオン交換樹脂(プラスチックの粒子)」に吸着・保持されていることに気づきました。
そして、この触媒を再生させる操作の際に、純度の高いスーパービタミンEを回収できることを発見しました。
つまり、廃棄物油の主成分をバイオ燃料に変換すると同時に、微量に含まれていた高付加価値物質を高濃度で取り出すことに成功した、ということになります(特許第5700188号)。
実際にモデル実験の様子を映像で見てみましょう。(タイトル画面をクリックすると動画が再生されます)
まず、ビタミンEの吸着操作では、黄色のビタミンEを溶かしたエタノール溶液に樹脂を加えると、(1)式の反応でビタミンEが樹脂に取り込まれて、溶液の色が無色透明になることが分かります。
次に、ビタミンEの回収操作では、ビタミンEを取り込んだ樹脂に、無色透明の酢酸を溶かしたエタノール溶液を加えると、(2)式の反応で樹脂の中のビタミンEが放出され、もとの溶液よりも色の濃い状態で回収できることが分かります。
本技術を用いれば、これまで有効利用できなかった廃棄物油1kgから、軽油代替燃料バイオディーゼルが0.73リットル(120円/リットル)、従来のビタミンE類が15 g(264円/g)、スーパービタミンEが15 g(600円/g)製造できることになります。
つまり、バイオ燃料の製造だけでは生産コストが高いため、軽油と同じ価格で販売すると赤字が生じてしまいますが、同時に得られる2種類のビタミンEの販売利益が追加されることで、その赤字が解消され、採算性のある事業になるのです。
廃棄物油には他にも様々な物質が含まれているため、それらを利用するための適切な技術を組み合わせていくことで、石油のように全てを徹底的に使うシステムが構築できると考えています。「三本の矢」あるいは「合わせ技」といったところでしょうか?
バイオマスを効率的に使うための技術開発はまだ始まったばかりです。みんなで知恵を寄せ合って、画期的な活用システムを創り上げていきましょう。
来週は「ゲノムと社会」です。
配信日程:8月3日(月)午前10時ごろ配信予定