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【震災の教訓を生かすために 最新!災害対策の課題】 第3回 津波からの避難について

2015/08/12 10:00


東日本大震災の教訓を将来に生かすためは、何が対応できて、何が対応できなかったのか、課題をしっかりと整理する必要があります。


当時、防災情報や避難対応や行動での問題点が多く報告されています。発災直後、防災無線が壊れたり、携帯電話が通じなくなったりしたため、津波情報が十分に伝えられなかった状況もあります。


人間は記憶にある地理的な情報(これは頭の中の地図であり「認知マップ」と呼ばれます)に従って避難するという習性があること、そもそも平時と緊急時では思考自体が変わってしまうこと、などが指摘されています。従来、そうした避難行動の解明は直接的な聞き取り調査やヒアヤリングなどを通して行ってきましたが限定的な状況しかわかりませんでした。


東日本大震災の当時、携帯やカーナビを利用した時々刻々の位置情報はビッグデータとして活用できます。これは、避難行動を科学的に捉とらえることを可能とし、我々がどのような判断で回避という行動をとるかを詳細にかつ具体的に知ることができると期待されています。沿岸域の皆さんはどこに向かっていかのか?どこで渋滞が発生したのか?などを知ることができました。


ところで、皆さんは避難場所と避難所の違いは分かりますか?

津波や洪水が懸念される場合に、どちらに移動しますか?

正解は、避難場所です。こちらは一時的に安全を確保する場所であり災害の特性に応じて異なります。


避難所は、広域で滞在方の避難できる施設ですので、自治体が決めます。安全性と収容能力が基準です。


2つの言葉としては紛らわしいですが、このような点をしっかりと確認して頂きたいと思います。


さらに、沿岸部の自治体では、津波からの避難マップや手引きを作成しています。例えば、仙台市では、今後も余震等により起こりうる津波に対し、自分や家族の命を守るために、「津波からの避難の手引き(暫定版)」を作成し活用していただいています。事前に避難場所を確認しておきましょう。

http://www.city.sendai.jp/kurashi/bosai/jishin/0023.html



次回は「第4回 リアルタイム災害情報の活用に向けて」です。

配信日程:8月13日(木)午前10時ごろ配信予定



【プロフィール】

今村 文彦

東北大学災害科学国際研究所所長(津波工学教授)

津波工学や自然災害科学を専門とし、東日本大震災後には、国内外での防災・減災社会構築のための実践的防災学を研究している。