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【5日間で「名コーチ」に変身するレシピ】3日目 チームのルールをつくろう

2015/09/16 10:00

<3日目> チームのルールをつくろう

きょうのポイントは、みんなでルールを決めて、それをみんなで実行することです。

カヌー競技で、初心者を育て全国大会で3連覇を果たしたチームの指導者のしかけもユニークです。このチームでは、一人乗りの艇が複数ありました。新品の外国製の艇もあれば、少し古い艇もあります。どの艇に誰が乗るかを決める決め方がユニークです。


「各選手が乗る舟はレースをして決めます。レースの日を決めて、そのレースの上位者から自分で好きな舟を選んでいきます。上級生、下級生は関係ないです。その日に風邪をひいたり体調が悪くても、それはそれ。1回のレースで速い人が好きな舟をとる。それだけです。」(カヌー全国優勝監督)




このカヌーチームのルールは、チームで掲げる目標を達成するために必要なこととして、チームのメンバー全員で決めていました。それにより、目標を達成するためにそれぞれが何をしなければならないか、何をしてはいけないか、が明確になります。良い行動、望ましくない行動がはっきりします。それを判断するための「ものさし」の役割も果たしています。


このように、チームで共通の目標を決めたら、次にその目標を達成する上で求められるチームのルールをメンバー全員で決めておくことが重要です。


そしてそのルールは、メンバー全員が納得するものでなければなりません。様々な決め方がありますが、なかなかひとつに絞れなかったり、自分たちで決められない場合もあるでしょう。その時は、みんなでルールを出し合って、自分たちができそうなものをひとつ決めて、それをみんなで実行するようにするとよいでしょう。その際、3つくらいの選択肢の中から選択できるとよいでしょう。


<ルールを決めるポイント>

・ルール作成には全員が参加してもらう。

・例外はつくらないようにしてもらう。

・全員が納得して受け入れられるルールにしてもらう。

・うまく決められない時は、「A案、B案、C案などいろいろ出ましたが、どれかを選んでやりませんか」、というように、選択肢を出し合ってから決める。

・2者選択ではなく、3つ以上の選択肢を示して自分たちで選択させることで、自律性が実感される。

・ルールにより自分の行動の良し悪しの基準がわかるようにしてもらう

・ルールにより、行動や結果の責任が負えるようにしてもらう


<きょうのまとめ>

さて、きょうの話をまとめてみると、「よいコーチ」のコツとして次の点があげられます。

・はじめにチームの明確なルールを決めるように促す


<きょうの宿題>

チームのみんなでたてた目標を達成するための小さなルールをまずひとつ考えてみましょう。


参考文献:北村勝朗著「300人の達人研究からわかった上達の原則」CCCメディアハウス 2015年



次回は「4日目 問いかけてじっくり聞く」です。

配信日程:9月17日(木)午前10時ごろ配信予定



【プロフィール】

北村勝朗(きたむら かつろう)

東北大学大学院教育情報学研究部教授

どうしたら人の才能は開花するのか、という疑問について、熟達化とコーチングの視点から研究に取り組んでいる。

主要な著書に『300人の達人研究からわかった上達の原則』(CCCメディアハウス、2015年)、編著書に『わざ言語-感覚の共有を通しての「学び」へ』(慶應義塾大学出版会、2011年)、共著に『スポーツモチベーション』(大修館書店、2013年)、『理科大好き!の子どもを育てる』(北大路書房、2008年)など。

趣味 バイクツーリング、映画鑑賞、身体を動かすこと