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【宮城県議選の前に読む選挙いま・むかし】第1回 投票率は隠れた主役
2015/10/19 10:00
宮城県議選が近づいてきましたが、ある意味では「投票率」は選挙の隠れた主役です。
全国的にもそうですが、近年宮城県では、投票率の低下が目立っています。
2011年11月の前回の県議選は41.69%、2013年7月の参院選は50.75%、同年10月の県知事選は36.58%、2014年12月の衆院選は49.23%でした。
(図1)
この衆院選は全国平均でも過去最低の低投票率となりましたが、宮城県でも前回(2012年12月)を6.01%も下回りました。全国平均の52.66%を3%以上も下回っています。東日本大震災後、有権者の政治へのシラケ感が強まり、半分も投票に行かないという選挙が続いています。
浮動票が与党候補を支持するのか、野党候補を支持するのか、あるいは棄権に回るのか。どの選挙でも浮動票の行方が注目されます。
一般に投票率が高いほど、浮動票が選挙結果を左右することになります。
一方棄権が増えるほど、固い組織票や地盤をもつ候補者や政党が有利になります。棄権は現職の候補者を助けているともいえます。「選挙や政治に興味がないから」「面倒だから」というような理由で棄権するという行動自体が、本人が気づいていない政治的な効果を持っているのです。
本格的な政権交代が実現した2010年8月の衆院選は69.28%(全国)という平成に入ってからでは2番目に高い投票率でした。2014年12月の総選挙では過去最低の低投票率が、2010年と比較したときの16%もの棄権の増加が与党を助けました。
投票率の低下が予測される12月に総選挙を実施したこと自体、解散権を持つ首相の作戦勝ちだったのです。
棄権の多い少ないが、選挙戦の隠れた主役だということは、過去3回の衆院選が明確に示しています。低投票率の裏側で、高笑いしているのは誰なのかをよく考えてみましょう。
次回は「第2回 都市化するほど国政選挙への関心が高まる」です。
配信日程:10月20日(火)午前10時ごろ配信予定
【プロフィール】
長谷川 公一(はせがわ こういち)
東北大学大学院文学研究科社会学専攻分野教授
市民社会論や環境社会学、政治社会学、社会運動などを主に研究しています。投票は有権者にとって貴重な政治参加の機会です。選挙権を持つようになって40年あまり、海外出張中を除いて、棄権は1度もありません。
趣味:俳句。句集に『緑雨』(りょくう)があります。時雨、白雨、紅雨など、日本語ほど、雨に関して繊細で豊かな言葉をもつ言語はありません。