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【宮城県議選の前に読む選挙いま・むかし】第3回 女性票を制すものは選挙を制す?

2015/10/21 10:00

投票行動を左右する要因としては、支持政党・年齢・職業・学歴・居住地・人種など、さまざまな要因が考えられます。


注目されるものの一つに女性と男性の性別、ジェンダーの影響があります。


年齢による差異(ジェネレーション・ギャップ)に対して、こちらはジェンダー・ギャップと呼ばれます。かつては夫唱婦随的に、妻や娘は、夫や父親の意向に沿って投票することが多いと考えられていた時代もありました。今日のように女性の投票行動がより自律的になってくると、女性票をいかに取り込むかが、選挙選の重要な焦点になってきます。


現代日本で世論を大きく二分する論争的なテーマに原発再稼働の是非、集団的自衛権に関する安保関連法をめぐる問題がありますが、原発と安全保障に関する問題は、国際的にも、ジェンダー・ギャップの目立つ、女性と男性によって、賛否のパターンが異なるトピックの代表的なものです。


女性は男性に比べて、原子力発電により懐疑的で、川内原発の再稼働にも批判的です(図3-1)。男性の方が、集団的自衛権についてより肯定的な傾向があります(図3-2)。







安倍内閣の支持率も、男性よりも女性の支持率が低い傾向にあります(図3-3)。




2015年8月の毎日新聞の世論調査では、内閣を「支持する」女性が26%に対して、支持しないは51%と、約2倍に開いています。


安倍内閣は「女性登用」や「女性の活躍」を掲げていますが、その背景には、国際的に比較した場合、女性の社会的地位が著しく低いこと(世界経済フォーラムの男女格差指数では日本は142ヶ国中104位です(2014年))。


首相とイデオロギー的な立場が近い議員に女性議員が目立つこと、マスコミ向けの話題づくりなどがあります。女性の支持率が相対的に低い政権であるがゆえに、女性票の獲得を意識的に狙っている点も否定できません。



次回は「第4回 デモは選挙を変えるのか?」です。

配信日程:10月22日(木)午前10時ごろ配信予定



【プロフィール】

長谷川 公一(はせがわ こういち)

東北大学大学院文学研究科社会学専攻分野教授


市民社会論や環境社会学、政治社会学、社会運動などを主に研究しています。投票は有権者にとって貴重な政治参加の機会です。選挙権を持つようになって40年あまり、海外出張中を除いて、棄権は1度もありません。

趣味:俳句。句集に『緑雨』(りょくう)があります。時雨、白雨、紅雨など、日本語ほど、雨に関して繊細で豊かな言葉をもつ言語はありません。