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【仙台は起業の街になりうるか?】第1回 起業は経済のエンジン:経済における起業家の役割

2015/11/02 10:00

日本経済の主役は誰でしょう。


「大企業」と答える方が多いと思います。確かに首都圏においては大企業の比率は高く、経済のエンジンと言えるかもしれません。他方、地域経済においては、中小企業がとても重要な役割を果たしています。従業員数や企業数をみると、地方は中小企業の比率が圧倒的に高いのです。




次に雇用創出という観点からみると、大企業が多くの新規雇用を生み出しているように見えますが、実は大企業よりも中小企業のほうが大きな貢献しています。とりわけ高成長中小企業の存在は大きく、企業数としては全体の2%にしか過ぎない高成長中小企業が、全体の約40%の新規雇用を生みだしているといわれています。


宮城県で開業率が高い産業は、情報通信産業、宿泊飲食サービス、そして医療福祉です。逆に廃業率が高い業種は漁業、宿泊飲食サービス、製造業、生活関連サービス・娯楽などが高いです。こうして見ると、宿泊飲食サービスは新陳代謝が高いことがうかがえます。

ちなみに仙台市で起業数が多いのは、サービス業、飲食店、小売業が主であるといわれています。


一般的に起業数が多ければ多いほど、その地域の経済のエンジンは強靭になります。また起業を行う人を起業家と呼びますが、その数が多ければ多いほど、その地域には人が集まると言われています。起業はその地域の成長や活力を図るバロメーターでもあります。



次回は「第2回 宮城県は新規開業率で日本で二番目」です。

配信日程:11月 3日(火)午前10時ごろ配信予定



【プロフィール】

福嶋 路

東北大学大学院経済学研究科教授

地域で活躍する企業の戦略、企業家の活動、企業家の活動を促進する社会的仕組みについて研究している。

編著に『ハイテク・クラスターの形成とローカル・イニシアティブ:テキサス州オースティンの奇跡はなぜ起こったのか』(白桃書房、2015年)がある。

趣味 旅行、温泉、刑事ドラマ・動物番組の鑑賞