みんみん対談 「仙台の市民協働によるまちづくり2016」―これまでの5年これからの5年― 前編
2016/01/04 10:00
特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンター
ニュースレター2016年1月1日vol.103 より(全文から一部分を抜粋)
みんみん対談
「仙台の市民協働によるまちづくり2016」―これまでの5年これからの5年― 前編
東日本大震災の後、それまで社会に隠れていた問題が、市民社会のより弱いところに集中して表出しました。
仙台市はそういった社会課題の解決に市民協働によるまちづくりで取り組もうとしています。
限られた人だけではない多様な人たちの多様な力を合わせて、みんなが当事者としてまちをつくっていくという話を聞く事ができました。
○震災からの5年 顕在化した地域課題
新川:東日本大震災からの5年間、仙台市は復興に向けて力を入れてこられ、特に被災者の方に向けたインフラ部分では、相当程度の成果が出ました。その中で、それぞれの地域作りの活動に市民や市民活動団体が役割を果たしました。復興についての仙台市と市民や市民活動団体のコラボレーションがどのように進んでいると感じていらっしゃいますか。
市長:私が復興の中で一番強く感じたのは、阪神淡路大震災が日本社会の災害と復興ということについて大きな貢献をしたということです。例えば「被災者生活再建支援法」は、阪神淡路大震災の経験を元に市民活動等の幅広い運動の成果によってつくられ、東日本大震災では法による再建支援を行うことができました。
一般的に行政はある種の制度的な枠組のもとに、幅広い層に対して基本的な責務を負うので、個々の問題を抱えているケースへの対応は難しい。そこに、いろいろな団体でよく状況を把握出来る方々が入って、仲介役や支援者の役割を果たしていただいて環境改善につながったという良さがありました。
新川:仙台市の場合、避難所の開設や運営を巡った個々のケースを見ると、女性の問題とかに典型的ですが、こういう大災害に対し一人ひとりの暮らしあるいは生き方というものを大事にしてあげられるかということが大事だったと思っています。直接個別の問題に対応するのは本来自助やあるいは共助の問題かもしれませんが、自助や共助が出来やすくするということに対する公の役割もあるのかと思います。
市長:「多様であることが良い」という認識を持てるかどうか。災害が発生する前から行政とNPO、町内会などさまざまな方を含めての信頼関係が根底にあるということが大事なことだと思います。
新川:震災で社会の中で一番弱いところに大きな圧力がかかってきて、課題が表に出てきました。それが日常生活に困難を来すような方々のさまざまな問題であったり、子どもたちの中でも虐待や貧困の問題があったりでした。課題解決のための環境をきちんと整えるということがこの5年間に仙台市政として充分にできたかを私たちは考えなければならないし、同時に私たち市民の側も、きちんと課題の見える化を行い、行政と一緒に働ける環境をつくってきたかどうか検証しなければなりません。
市長:この5年間は仙台市政にとって非常事態宣言のようなところがあって、まずは仮設住宅にいらっしゃる方々の新たな住まいへの移行を最優先ということでやってきました。NPOを含めて市民社会が底力をもって、これからの地域課題に向かい合っていくというところにポイントを置いた課題認識や対応まで、行政としてもいっていなかったと思います。
〈後編に続く〉
(記録・編集 鈴木美紀)
特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンター
ニュースレター2016年1月1日vol.103 より(全文から一部分を抜粋)
【後編の配信日時】
みんみん対談「仙台の市民協働によるまちづくり2016」―これまでの5年これからの5年―
2016年1月5日予定