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みんみん座談会 「NPOにおける人材育成」前編 ~担当者が伝えたい若者育てに関する考えとメッセージ~

2016/01/06 10:00

特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンター

ニュースレター2015年11月1日vol.102 より


みんみん座談会「NPOにおける人材育成」前編

~担当者が伝えたい若者育てに関する考えとメッセージ~


東日本大震災などの大地震や記憶に新しい9月の記録的豪雨。地震被害にしろ水害にしろ、こうした自然災害から建物や堤防などのハードだけで、私たちの安全・安心を担保するには限界があります。


こうした災害が起こるたび、各地でさまざまなリーダーを中心に復旧・復興が進められてきました。自ら課題を見出し、周囲の協力を得ながら解決への道を模索する。そうした人材を発掘・育成することは、当センターでも事業ドメインに盛り込んでいる最重要項目のひとつです。


今回はインターンシップ等を通して若者の人材育成を精力的に行われている、NPO法人Switchの今野純太郎さん、NPO法人冒険あそび場-せんだい・みやぎネットワークの斉藤信三さん、認定NPO法人杜の伝言板ゆるるの村上千恵さんのお三方をお迎えし、人材育成をキーワードに座談会を催しました。



●人材育成において気を付けていること

小川(せんだい・みやぎNPOセンター):皆さんのインターンシッププログラムを拝見しますと、活動現場において若者自身の能動的な関わりから学びや気づきを促すアクティヴラーニングの手法を全面的に取り入れているようにお見受けします。当センターでは現場活動だけで満足するのではなく、その活動に必要な周辺知識まで伝えるように気を付けるようにしていますが、皆さんの団体で留意されていることはおありでしょうか。


斉藤:活動日ごとにふり返りを行うのですが、ふり返りのためのふり返りにならないようにしています。こんなことがありましたという小学生の絵日記のようなものではなく、深く掘り下げたものになるように。例えば、ある事案への対応はこのような考え方に基づいていた、ということを話してもらいます。それに対してスタッフから、自分だったら別の対応をするが?という投げかけがあり、こうしたやりとりを通じてひとつの事案に対する考え方を深めていきます。若者のなかにある「何か」を引き出すような働きかけをすることによって、彼らが何かに気付くふり返りですね。



村上:私たちは活動をしっぱなしにさせないよう気を付けていて、指摘せねばならない部分があれば、その場で指摘するようにしています。各人の個性をみたうえで、こまめな指導が必要な人にはこまめに、そのような指導が逆効果な人にはある程度まとめて対応するようにしたり。また担当者だけでなく周りのスタッフからの意見も聞き、若者と多面的な関わりをするように気を付けています。あとは各人それぞれの考え方で活動をしているので、それをなるべく否定しないということでしょうか。



今野:私たちの団体では、利用者さんと関わるといった直接業務だけでなく、利用者間の連絡調整とかシンポジウム開催準備といった間接業務もなるべく行ってもらっています。研修に職員と一緒に参加して専門知識を付けてもらうなど、知識を得る場も提供はしていますが、やはり直接業務のなかから学ぶことの方が多いように感じますね。



●若者の影響

小川:メンターとしても、彼らの存在から人材育成について深く考える機会をもらっていることと思います。私は団体側も成長するきっかけをいろいろもらっていると実感していて、メンターという役割は、そういう意味でも恵まれているのではないでしょうか。


斉藤:そうですね。人を育てるということについて、すごく考えるようになりました。自分の力をどう伸ばすかという視点は持っていたのですが、人を育てるとなると全く違うことです。私は育ててもらうというより、自分で育つ(力を高める)ことも各人の仕事のひとつと考えているので、いざ人を育てる役割となったときに、どうしたらいいんだろうと思ったこともありました。ただ、せっかくNPOで活動しているんだから、企業や行政などでは得られない視点を持って欲しいなと。そのために彼ら一人一人がいま持っている視点や考え方を活かしながら、「自分は自分でいいんだ」と思えるよう気を付けています。

団体への影響という意味では、スタッフそれぞれ「人材育成」の概念がバラバラということが見える化されました。決してそれが悪いということではなく、一人一人大事にしているものが違うということですね。


今野:当団体のスタッフは30歳以上しかいなかったのですが、20代の彼らのおかげで、スタッフの意識がすごく変わりました。人にものを教えるということを通して、自分の立ち位置を再確認するというか。これはすごく有難いですね。ただ、逆にそれをプレッシャーに感じてしまうスタッフもいなくはないんです。若者を受け入れるには大きなエネルギーが要求されますから。でも、おかげで団体全体として「育っていかねば」という空気が生まれてきたように感じています。


村上:団体のなかで自分が一番年下なので、人にものを教えるということで私自身の意識が随分と変わりました。分かってもらえる伝え方がどのようなものなのかとか、職員なら既に知っていることでも、改めて彼らにいかにきちんと理解してもらうかなど、さまざま考えるようになりました。「伝える努力」はスタッフ一人一人するようになりましたね。


〈後編に続く〉


特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンター

ニュースレター2015年11月1日vol.102 より


【後編の配信日時】

みんみん座談会「NPOにおける人材育成」後編

2016年1月7日予定