都市の中の新しい認可保育園、その産声は聞かれるか?(前編)
2016/01/13 10:00
みやぎのボランティア市民活動情報誌 「月刊 杜の伝言板 ゆるる」 1月号より
都市の中の新しい認可保育園、その産声は聞かれるか?(前編)
=NPO法人朝市センター保育園 理事・園長 安達喜美子=
【行政が動いた!】
「保育園認可にあたり、保育環境は個別事例ごとに検討することとし、一律な立地規制はしない。仙台市の認可要綱を改訂する。」
2014年11月10日、社会福祉審議会において、仙台市が正式に見解を発表しました。1年余りに及ぶ朝市センター保育園存続運動が行政を動かした瞬間でした。
国の「子ども子育て支援新制度」実施に伴い、仙台市独自の助成制度「せんだい保育室制度」を廃止すると仙台市が発表したのは2013年11月。
その時、認可保育園への移行を表明した朝市センター保育園は、存続の危機に直面することになりました。
パチンコ店が70m圏内にあることで「認可園としては認められない」と言い渡されたのです。
しかし、またたくまに2万3000の署名が集まり、市長との直接の話し合いが行われ、存続運動が実を結ぶこととなったのです。
【一難去ってまた一難】
門前払いだった認可保育園への道は確かに開かれました。
しかし、ここはまだスタート地点にすぎません。認可保育園を誕生させるまでには、越えなければならない大きなハードルが待ち構えていました。
1つは認可保育園の建物基準を満たすための改修工事です。
そして、もう1つは、保有金確保の問題です。
民間の認可保育園を運営するためには、安定した運営を保障する保有金を持つことが必須の条件となっており、建物が賃貸の場合は家賃の12か月分、及び、年間運営費の12分の1、さらに1000万円、総額で2000万円を超える額となります。
改修工事費用は借り入れることも可能ですが、保有金については借り入れることはできません。2017年4月の認可保育園開園を目指す朝市センター保育園は、新たに1000万を超える資金確保が必要となったのです。
NPO法人運営の保育園にとっては、大きすぎる金額です。一難去ってまた一難。しかし、立ち止まっていることはできません。
【1000万募金に取り組む】
2015年4月には、「認可開設を目指す1000万募金」をスタートさせました。
在園児保護者、卒園児保護者、職員総がかりで、保育園のあらゆる関係者に振込用紙付きのチラシ2000枚を配って歩きました。
半年が経過した9月、目標の半分までこぎつけましたが、さらなる広がりがどうしても必要だとの議論が出てきていました。そうした中、保護者の1人が「ネット上で不特定多数の方々に支援をお願いするクラウドファンディングに挑戦してみませんか?」と声を上げました。
ネット関係は不得意で敬遠していた職員たちの尻をたたきながら、保護者達は煩雑な手続きをぐんぐん進めていきました。保育内容や関係者の思いをサイト上で発信することを宣言すると、保育園内外から原稿が次々と寄せられ、プロジェクトを成功させようという機運が高まっていきました。
11月14日には、雨の中、「守りたい、笑顔育む保育の場」と書かれた横断幕を掲げ、保護者と職員総勢20人が街頭宣伝に繰り出しましたが、この時の様子は新聞やテレビでも報道されました。ネットは使えないけれど応援したいと、募金を持参してくださる方も出てきました。
〈後編に続く〉
【配信日時】
都市の中の新しい認可保育園、その産声は聞かれるか? (後編)
2016年1月14日(木) 予定
NPO法人朝市センター保育園
〒980-0021 仙台市青葉区中央4-3-28
朝市ビル5階
●TEL: 022-221-9350
●URL: http://asaichikko.jimdo.com/
みやぎのボランティア市民活動情報誌
「月刊 杜の伝言板 ゆるる」 1月号より