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地下鉄東西線によるまちづくり活動~学生リポート~

2016/01/26 10:00

こんにちは、私は東北大学の理学部で地理学を専攻している、学部3年の神田兵庫と申します。


私は大学の専攻のほかにも、「都市まちづくり研究会」というサークルに所属していて、専攻でもサークルでも都市や街について触れています。この「都市まちづくり研究会」では、さまざまな街に出掛けたり、地域のまちづくり活動に参加したりして、街というものをとらえようとするサークルです。


今回は、そのサークル活動の一環で参加している、「若林区東西線沿線魅力探検隊」の活動内容をもとに、まち歩きについての考えを学生である私なりに述べようと思います。




さて、この「若林区東西線沿線魅力探検隊」は、主に若林区を中心に、新しくできた仙台市の地下鉄東西線の駅のまわりを歩いて、その街のことを知るといった活動をしています(実はこの「探検隊」は東西線が開業する以前から活動しています)。


そして、歩くことによって得た内容を地図化して外部の人に発信するのが最終目標です。




私が気になったのは地下鉄東西線沿線にある「薬師堂」駅(仙台駅より東西線で6分)。仙台にずっとお住まいの方には何のことかわかっても、よそから来た学生などにとってはピンと来ません。初めてその名前を聞いたならば、まぁおそらくお寺の名前だろう、とまでは想像できるでしょうか。




それにしても、お寺の名前が駅の名前になるのですから、なにかいわれのある立派なものなのかもしれません。そんなお寺が仙台にあるのでしょうか?


その答えをのんびり薬師堂駅に降りて探してみる・・・、そんな地下鉄の使い方も面白いものです。


薬師堂駅で降りて、地図を見て薬師堂に向かう。そうしたら途中で堀を見つけたので、その堀を追いかけてみる。その堀は途中で無くなっているように見えるけど、実は地下に潜っているようである。




地下に続いているその水路を丹念に追うと、別の堀と合流している・・・。こんな寄り道もしばしばのことですが、ここでは本来の目的に立ち返り、薬師堂に向かってみましょう。


するとそこには、予想通り立派なお寺が。


「薬師堂」とは、陸奥国分寺なるお寺の中にあるお堂のことで、国の重要文化財だったのです。ちなみにこの陸奥国分寺は聖武天皇により全国に建てられた国分寺のひとつで、聖武天皇は仏教の力で国を護ろうとしたのでした。どおりで立派なお寺なわけです。




では、その隣の「卸町」駅はどうでしょう。


写真:卸町駅、卸町周辺を探索している様子


「卸」ですから、やはり大きな卸売市場があるのでしょうか。そんな想像のもと、駅の北側へ足を運ぶと、やはりそれは正解で、卸売業者だったり倉庫だったりがたくさん。でも、それじゃあ我々一般人にはあまりなじまない土地かというと、意外とそうでもない。


卸問屋が多くとも、一般の客向けに商売しているお店もあり、仙台市中央卸売市場まで行けば海鮮もいただけます。


このようなまち歩きを通せば、街のことがわかるだけでなく、自分なりにその街が解釈できます。つまり、その街に対する感情や感覚のようなものが自分の中に湧きあがれば、大成功。それだけで何か楽しいものですし、まちづくりで「発信」を考えなくてはならないときも、その感情や感覚を発信していけばいいのだと思います。


つまり、「聞いて聞いて、こんなものがあるんだよ」だとか、「あの道を先に行く続きは、雰囲気がすごくよくて・・・」などといった、「わくわく」のようなものを伝えるのです。そうすれば、面白いものが出来上がるだけでなく、作業している時にその人たち自身が楽しくなります。



東北大学 都市まちづくり研究会

理学部 地理学専攻 3年

神田 兵庫