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【チーズの世界 Q&A】第3回 チーズを食べると太りますか?
2016/02/23 20:00
Q:チーズを食べると太りますか?
A:チーズは水分を除くと、脂肪が半分、タンパク質のカゼインが半分の食品です。
脂肪含量が高いのですが、乳脂肪は中鎖脂肪酸が多く、蓄積型の脂肪ではなく燃焼型の脂肪ですから、意外と太りません。
また、チーズ中の高い濃度のカルシウムは、脂肪の蓄積を防ぐ効果があるために、チーズを多食すると返ってダイエット効果が確認されています。
すなわち、チーズを食べても高いカルシウムの影響で太らないということが報告されています。
カルシウムのサプリメントを摂るよりも、チーズ中の自然の形態のカルシウムの方が吸収性が良く、ダイエット効果もあることが知られています。
チーズはどのチーズもカルシウムが豊富であり、ダイエット効果が高いものと考えられます。もちろん、食べ過ぎないことが重要ですが。
Q:ナチュラルチーズとプロセスチーズの違いは?
A:ナチュラルチーズは乳から作りますが、プロセスチーズはもう出来たゴーダやチェダーのナチュラルチーズから作るのです。
ナチュラルチーズでは、乳酸菌や酵素が生きていますから、時々刻々味と香りが変化するのが特徴です。
写真1 ナチュラルチーズ
一方、プロセスチーズはもともと軍事食としてスイスが開発し、その後の第一次世界大戦で戦地の兵隊さんに栄養食として配布するものでした。すでに出来ているナチュラルチーズを溶融塩(リン酸ナトリウムなど)と一緒に混ぜて加熱してドロドロに溶かしてのから、冷やして固めたものです。
従って、乳酸菌も酵素も生きていないので、保存性は高くなっています。
日本のチーズの歴史は、プロセスチーズから始まりましたので、先進国の中ではナチュラルチーズよりも消費が多いという珍しい国です。
フランスの学校給食では毎日の様にナチュラルチーズが出ていますが、仙台市の小学校ではヨーグルトもチーズも月に一回と少なく、しかもプロセスチーズなのは残念です。
写真2 プロセスチーズ
Q:オレンジ色のチーズがありますが着色しているのですか?
写真3 ミモレット
A:フランスのミモレットチーズやイギリスのレッドチェダーチーズでは、ベニノキの種皮から抽出する「アナトー」という赤い色素で着色しています。
この色素は食べても安全ですので、全く心配はありません。この色素は、ハムやソーセージなどにも広く使われている天然の色素です。
なぜ着色するのかはいろいろ意見があります。
一般にチーズは熟成が進むと水分含量が減りますし、褐変反応も進みますので、段々と濃い茶色になって来ます。従って、熟成が短いチーズでも、少し着色すると熟成が進んだ美味しいチーズの印象が深まります。
そこで、あえてチーズに着色をするものがあるのだという説です。しかし、ミモレットの赤色は余りにも鮮やかであり、熟成色とは異なるもののようです。
また、通好みと言われるウオッシュタイプのチーズでも、この色素が最近では表面色の調整に使われているようです。フランスのリヴァロやマンステルなどのチーズでの表面の赤い色がそうですね。
次回は「第4回 世界3大ブルーチーズとはどんなチーズですか?」です。
配信日程:2月18日(木) 配信予定
【プロフィール】
齋藤 忠夫(さいとう ただお)
東北大学大学院 農学研究科教授
より優れた乳酸菌を用いて新機能性ヨーグルトの開発に取り組んでいる。
著書には『畜産物利用学』(文永堂出版、2011年)他、30冊がある。
趣味 ピアノ演奏
A:チーズは水分を除くと、脂肪が半分、タンパク質のカゼインが半分の食品です。
脂肪含量が高いのですが、乳脂肪は中鎖脂肪酸が多く、蓄積型の脂肪ではなく燃焼型の脂肪ですから、意外と太りません。
また、チーズ中の高い濃度のカルシウムは、脂肪の蓄積を防ぐ効果があるために、チーズを多食すると返ってダイエット効果が確認されています。
すなわち、チーズを食べても高いカルシウムの影響で太らないということが報告されています。
カルシウムのサプリメントを摂るよりも、チーズ中の自然の形態のカルシウムの方が吸収性が良く、ダイエット効果もあることが知られています。
チーズはどのチーズもカルシウムが豊富であり、ダイエット効果が高いものと考えられます。もちろん、食べ過ぎないことが重要ですが。
Q:ナチュラルチーズとプロセスチーズの違いは?
A:ナチュラルチーズは乳から作りますが、プロセスチーズはもう出来たゴーダやチェダーのナチュラルチーズから作るのです。
ナチュラルチーズでは、乳酸菌や酵素が生きていますから、時々刻々味と香りが変化するのが特徴です。
写真1 ナチュラルチーズ
一方、プロセスチーズはもともと軍事食としてスイスが開発し、その後の第一次世界大戦で戦地の兵隊さんに栄養食として配布するものでした。すでに出来ているナチュラルチーズを溶融塩(リン酸ナトリウムなど)と一緒に混ぜて加熱してドロドロに溶かしてのから、冷やして固めたものです。
従って、乳酸菌も酵素も生きていないので、保存性は高くなっています。
日本のチーズの歴史は、プロセスチーズから始まりましたので、先進国の中ではナチュラルチーズよりも消費が多いという珍しい国です。
フランスの学校給食では毎日の様にナチュラルチーズが出ていますが、仙台市の小学校ではヨーグルトもチーズも月に一回と少なく、しかもプロセスチーズなのは残念です。
写真2 プロセスチーズ
Q:オレンジ色のチーズがありますが着色しているのですか?
写真3 ミモレット
A:フランスのミモレットチーズやイギリスのレッドチェダーチーズでは、ベニノキの種皮から抽出する「アナトー」という赤い色素で着色しています。
この色素は食べても安全ですので、全く心配はありません。この色素は、ハムやソーセージなどにも広く使われている天然の色素です。
なぜ着色するのかはいろいろ意見があります。
一般にチーズは熟成が進むと水分含量が減りますし、褐変反応も進みますので、段々と濃い茶色になって来ます。従って、熟成が短いチーズでも、少し着色すると熟成が進んだ美味しいチーズの印象が深まります。
そこで、あえてチーズに着色をするものがあるのだという説です。しかし、ミモレットの赤色は余りにも鮮やかであり、熟成色とは異なるもののようです。
また、通好みと言われるウオッシュタイプのチーズでも、この色素が最近では表面色の調整に使われているようです。フランスのリヴァロやマンステルなどのチーズでの表面の赤い色がそうですね。
次回は「第4回 世界3大ブルーチーズとはどんなチーズですか?」です。
配信日程:2月18日(木) 配信予定
【プロフィール】
齋藤 忠夫(さいとう ただお)
東北大学大学院 農学研究科教授
より優れた乳酸菌を用いて新機能性ヨーグルトの開発に取り組んでいる。
著書には『畜産物利用学』(文永堂出版、2011年)他、30冊がある。
趣味 ピアノ演奏