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【チーズの世界 Q&A】第4回 世界3大ブルーチーズとはどんなチーズですか?
2016/02/25 10:00
Q:世界3大ブルーチーズとはどんなチーズですか?
写真1 左からロックフォール、ゴルゴンゾーラそしてスティルトンです
A:この定義は日本だけのもののようです。海外では3大ブルーチーズとは言いません。
これは、写真に示しましたように、ロックフォール、ゴルゴンゾーラ、スティルトンの3つの個性的なブルーチーズを指しています。
ロックフォールだけは、ヒツジ乳から作り、それ以外は牛乳から作ります。
これらのチーズでは、内部に青カビを接種し、内部から外側に向かって熟成が進んできます。白カビのチーズでは、カビを表面に接種しますが、青カビでは逆です。
また、カビは酸素がないと育ちませんので、外側から針を刺して空気の通り道を作ります。青カビには、ペニシリウム・ロックフォルティーを使うことが多いですが、ペニシリンを作る株とは違いますので、安心して食べられます。スティルトンでは有名な話があります。
かつてエリザベス女王が来日された際、このチーズが日本にないことにご立腹され、急遽イギリス本国から空輸させたそうです。(写真出典:http://fromage.jp//i/set000020)
Q:チーズの表面の硬い皮や赤いワックスは食べられますか?
写真2 赤い部分がチーズワックスの部分です。
A:一般的には食べません。
熟成型のとくに硬質チーズは、熟成前に濃い塩水(飽和食塩水)に漬けたり、表面に塩を擦り込んだりして加塩をします。
この操作により、表面の脱水を促すことで表皮(リンドといいます)を作ります。さらに熟成中には、布で拭いたり、ブラシをかけたりして手入れをすることで、チーズ表面に固い表皮を作っていきます。
これらの作業は日々行うものですから、とても大変です。
そこで、熟成前のグリーンチーズを、溶けたワックスの中に漬けてコーティングをしたり、真空包装をしてつくる熟成型チーズもあります。
これらは、当然表面の固い表皮はできないので、リンドレスと呼んでいます。チーズの表皮は固くてまずいので、食べられますが通常は食べません。また、ワックスは食べても無害ですが、これも取り去って中身だけを頂きましょう。
写真3 フィルムで包んで真空包装をしてつくる熟成型チーズ
Q:チーズはどのように分類されているのでしょうか?
A:日本ではフランスの分類に従って、7種類に分類する方法が定着しています。
まず、熟成しないフレッシュタイプがあります。白カビおよび青カビによる熟成タイプがあります。
また、牛乳とヒツジ乳は一緒ですが、ヤギ乳のチーズだけはシェーブルとして特別に分けています。さらに、セミハードとハードタイプがあります。それにウオッシュタイプがあります。これで7種類となります。
しかし、イタリアやスペイなどの多種類のチーズも輸入され、この分類では対応できない場合も多くなってきました。
そこでチーズプロフェッシュナル協会(CPA)では、フレッシュタイプ、ソフトタイプ、青カビタイプ、圧搾タイプ、加熱圧搾タイプの分類を提唱しています。
かつては、チーズ中の水分含量で分けていましたが、柔らかいチーズも時がたてば硬質チーズになり分類が変わってしまうので、現在はこの分類は使っていません。
Q:フランスのAOCチーズ、ヨーロッパのPDOチーズとは何ですか?
A:フランスのAOCとは「原産地呼称統制」のことで、国内のINAOという公的機関が、審査から認可および管理を厳しく行っています。
認可された食品は、チーズやバターなどの乳製品だけでなく、ワインや食肉まであります。数からいうとワインが一番多いようです。
1992年にはEU(ヨーロッパ連合)が、以前からあったフランスのAOCとイタリアのDOCを参考にして、新しい認証システムを作りました。ここでは、PDOという「原産地名称保護制度」の統一マークを付けることになりました。
このマークの付いているチーズは優れた品質をEU委員会が認定保障していますので、安心して頂けます。マークは同じですが、添えられる文字は異なります。
フランスはAOCからAOPと表記することになりました。また、EU非加盟国のスイスでは、独自のAOC制度を発足させました。
写真4 左はEU諸国のPDOマークで、左はフランスのAOPマークです
次回は「第5回 これまでにない新しいタイプのチーズはありますか?」です。
配信日程:2月19日(金) 配信予定
【プロフィール】
齋藤 忠夫(さいとう ただお)
東北大学大学院 農学研究科教授
より優れた乳酸菌を用いて新機能性ヨーグルトの開発に取り組んでいる。
著書には『畜産物利用学』(文永堂出版、2011年)他、30冊がある。
趣味 ピアノ演奏
写真1 左からロックフォール、ゴルゴンゾーラそしてスティルトンです
A:この定義は日本だけのもののようです。海外では3大ブルーチーズとは言いません。
これは、写真に示しましたように、ロックフォール、ゴルゴンゾーラ、スティルトンの3つの個性的なブルーチーズを指しています。
ロックフォールだけは、ヒツジ乳から作り、それ以外は牛乳から作ります。
これらのチーズでは、内部に青カビを接種し、内部から外側に向かって熟成が進んできます。白カビのチーズでは、カビを表面に接種しますが、青カビでは逆です。
また、カビは酸素がないと育ちませんので、外側から針を刺して空気の通り道を作ります。青カビには、ペニシリウム・ロックフォルティーを使うことが多いですが、ペニシリンを作る株とは違いますので、安心して食べられます。スティルトンでは有名な話があります。
かつてエリザベス女王が来日された際、このチーズが日本にないことにご立腹され、急遽イギリス本国から空輸させたそうです。(写真出典:http://fromage.jp//i/set000020)
Q:チーズの表面の硬い皮や赤いワックスは食べられますか?
写真2 赤い部分がチーズワックスの部分です。
A:一般的には食べません。
熟成型のとくに硬質チーズは、熟成前に濃い塩水(飽和食塩水)に漬けたり、表面に塩を擦り込んだりして加塩をします。
この操作により、表面の脱水を促すことで表皮(リンドといいます)を作ります。さらに熟成中には、布で拭いたり、ブラシをかけたりして手入れをすることで、チーズ表面に固い表皮を作っていきます。
これらの作業は日々行うものですから、とても大変です。
そこで、熟成前のグリーンチーズを、溶けたワックスの中に漬けてコーティングをしたり、真空包装をしてつくる熟成型チーズもあります。
これらは、当然表面の固い表皮はできないので、リンドレスと呼んでいます。チーズの表皮は固くてまずいので、食べられますが通常は食べません。また、ワックスは食べても無害ですが、これも取り去って中身だけを頂きましょう。
写真3 フィルムで包んで真空包装をしてつくる熟成型チーズ
Q:チーズはどのように分類されているのでしょうか?
A:日本ではフランスの分類に従って、7種類に分類する方法が定着しています。
まず、熟成しないフレッシュタイプがあります。白カビおよび青カビによる熟成タイプがあります。
また、牛乳とヒツジ乳は一緒ですが、ヤギ乳のチーズだけはシェーブルとして特別に分けています。さらに、セミハードとハードタイプがあります。それにウオッシュタイプがあります。これで7種類となります。
しかし、イタリアやスペイなどの多種類のチーズも輸入され、この分類では対応できない場合も多くなってきました。
そこでチーズプロフェッシュナル協会(CPA)では、フレッシュタイプ、ソフトタイプ、青カビタイプ、圧搾タイプ、加熱圧搾タイプの分類を提唱しています。
かつては、チーズ中の水分含量で分けていましたが、柔らかいチーズも時がたてば硬質チーズになり分類が変わってしまうので、現在はこの分類は使っていません。
Q:フランスのAOCチーズ、ヨーロッパのPDOチーズとは何ですか?
A:フランスのAOCとは「原産地呼称統制」のことで、国内のINAOという公的機関が、審査から認可および管理を厳しく行っています。
認可された食品は、チーズやバターなどの乳製品だけでなく、ワインや食肉まであります。数からいうとワインが一番多いようです。
1992年にはEU(ヨーロッパ連合)が、以前からあったフランスのAOCとイタリアのDOCを参考にして、新しい認証システムを作りました。ここでは、PDOという「原産地名称保護制度」の統一マークを付けることになりました。
このマークの付いているチーズは優れた品質をEU委員会が認定保障していますので、安心して頂けます。マークは同じですが、添えられる文字は異なります。
フランスはAOCからAOPと表記することになりました。また、EU非加盟国のスイスでは、独自のAOC制度を発足させました。
写真4 左はEU諸国のPDOマークで、左はフランスのAOPマークです
次回は「第5回 これまでにない新しいタイプのチーズはありますか?」です。
配信日程:2月19日(金) 配信予定
【プロフィール】
齋藤 忠夫(さいとう ただお)
東北大学大学院 農学研究科教授
より優れた乳酸菌を用いて新機能性ヨーグルトの開発に取り組んでいる。
著書には『畜産物利用学』(文永堂出版、2011年)他、30冊がある。
趣味 ピアノ演奏