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~動物を巡る話シリーズ第1弾~ 動物を巡る幸せな話 (前編)

2016/02/29 09:50

みやぎのボランティア市民活動情報誌 「月刊杜の伝言板ゆるる」
2015年3月号より〈バックナンバーより掲載〉

~動物を巡る話シリーズ第1弾~ 動物を巡る幸せな話 (前編)

近頃、「かわいいから」とあまりにも簡単に動物を飼ってしまう人が増える傾向にあります。

人と動物が共に幸せに生きるために、よりよい関係を築きたいと活動する 人たちがいる一方で、倫理もなく 無責任に飼育放棄や動物虐待をする人たちがいる…。

この特集は2回に渡って、動物を巡る「幸せな話」と「不幸な話」に分けてお届けします。

動物福祉と社会福祉

「動物福祉」という言葉をご存知でしょうか。

動物福祉( Animal welfare )は、人間が動物に対して与える痛みやストレスなどの苦痛を最小限に抑えるなどの活動により動物の心理学的幸福を実現する考えのことをいいます。社会保障の福祉と誤解されることもあり、和訳せずにアニマルウェル フェアと表記することもあります。

アニマルセラピー(※)などの動物を利用した医療や福祉という意味ではありません。また、人間 が主体で義務である「動物愛護」とは違い、動物福祉は主体が動物にあり、功利主義で動物にとって幸せかを考えます。

先日(2015年3月時点)、仙台市主催の動物愛護セミナーがあり、「人と動物が共に幸せに生きていく優しい街を目指して」をテーマに基調講演、そしてパネルディスカッションが行われました。

基調講演をした仙台市動物愛護協議会会長である佐藤衆介さんは、精神疾患の有病率は4~5人に1人ともいわれ、若者の病気の半数以上が精神疾患で自殺も増えていると話しました。メンタルヘルス問題で1カ月以上休業または退職した労働者がいる事業所は2012年で8.1%にも上るそう。その一助に、ペットによる動物介在活動や動物介在療法が期待されているのです。

しかし、介在動物の福祉レベルを高める必要もあります。

OIE(世界動物保健機構)では福祉を「健康で、快適で、栄養状態が良く、安全で、内的に動機付けられた行動ができ、そして苦痛、恐怖、慢性的ストレスのような不快な状態にないこと」と定義しています。

「彼らは感受性のある存在であるからこそ、動物福祉が重要で大切にしなければいけない」と佐藤さんは強調しています。

新鮮な水、餌の提供、病気や怪我の予防と治療、取り扱いの丁寧さに加え、正常行動を発現させてやれる世話と飼育環境の整備がなされて、はじめて私たちの社会福祉に貢献できるのだといえます。

※動物介在活動、動物介在療法、動物介在教育を表す、日本でのみ通じる造語

後編につづく。
(取材・執筆 黒森きのこ)

【次回の配信日時】
~動物を巡る話シリーズ第1弾~ 動物を巡る幸せな話 (前編)
2016年3月1日(火) 予定

月刊杜の伝言板ゆるる2015年3月号
   http://www.yururu.com/?p=892