~動物を巡る話シリーズ第2弾~ 動物を巡る不幸な話(前編)
2016/03/03 10:22
みやぎのボランティア市民活動情報誌 「月刊 杜の伝言板 ゆるる」
2015年4月号より〈バックナンバーより掲載〉
~動物を巡る話シリーズ第2弾~ 動物を巡る不幸な話(前編)
大切な家族に見捨てられた犬猫は、そのあまりのショックから立ち直れず、食事も喉を通らず衰弱して死んでしまうことも多いそうです。
人を信じ人に寄り添って生きてきた犬猫が、人の都合のいい身勝手な考えにより、つらい生き方を強いられたり殺されたりする……不幸な動物をこれ以上増やさないためにはどうすればいいのか。
命を救う動物保護に取り組む人たちの地道な活動があります。
保護そして譲渡へ。命をつなぐ
「飼い主が亡くなり誰も引き取り手がいないから」「病気になって入院しないといけないから」様々な理由で、飼われていた犬猫が保健所に持ち込まれるケースが後を絶たないそうです。
最近は高齢者からの持ち込みが多く、高齢者が飼っていた犬猫の大半は高齢です。
「若い犬は更生もできるし、病気もないから引き取り手が見つけやすい。でも高齢の犬猫はいろんなリスクがあって譲渡が難しいんです。譲渡できなければ処分されてしまいます」と、バトンタッチ代表・小松美岐子さんは話します。
殺処分をしないために、バトンタッチでは保健所から犬猫を引き取って保護する一時預かりと、新たな飼い主に引き渡す「命をつなぐ」活動を続けています。
▲バトンタッチの譲渡会の様子
かつては全く無関心な対応で、保護した動物は「不要物」扱いだった保健所も、現在は協力して保護された犬猫をほとんど譲渡に結びつけています。「こんな犬が連れてこられたんだけど…」と保健所からの連絡も多く、譲渡先が見つかった黒パグ・サラもそんな犬の1匹でした。
サラは2015年1月、雪が降るとても寒い日に、加美地区の道路でうずくまっているところを発見され、保健所に収容されました。すごく汚くて泥まみれでやせ細り、下腹部には大きな腫瘍があり、すぐに病院で診察を受けました。
高齢で命の危険が伴う手術はできませんでしたが、懸命な看護と手厚い保護により日に日に元気を取り戻していきました。幸運なことに新たな飼い主が見つかるのに時間はかかりませんでした。バトンタッチを介し、被災した高齢の黒パグを譲渡した経験のある方が、また引き取りたいと手を上げてくれたのです。
バトンタッチされる現場から
2015年3月4日午前11時、新幹線・古川駅にて、新たな飼い主への引き渡し「バトンタッチ」が行われると聞き、現場へ駆けつけました。不安と期待の面持ちで一同が見守る中、早速、サラと新たな飼い主の赤羽みちえさんはご対面。すると、サラは尻尾を振って赤羽さんにすり寄り、今初めて会ったばかりとは思えない様子ですぐに懐いてしまいました。一同、心地よい安堵感に包まれました。
▲バトンタッチ小松さん(左)と赤羽さんとサラちゃん.
以前引き取った高齢で病弱なパグ・ぷぅは、懸命の看護が施されましたが2年余りで亡くなりました。「残りわずかな命だとしても、最高の治療と生活をさせてあげたいんです」と赤羽さん。せめて温かいところで残りの人生を過ごさせてあげたいという、小松さんの活動の根底にある思いと重なります。
どこにも行き場のない動物は、病気だったり、年老いていたり…もう余命が短いとわかっています。飼い主は何度も死と向き合うことになります。飼い主にとって家族となった動物を失うことはとてもつらいことです。それでも助けてあげたいと思う人がいます。
〈後編に続く〉
(取材・執筆 黒森きのこ)
【配信日時】
~動物を巡る話シリーズ第2弾~ 動物を巡る不幸な話(後編)
2016年3月4日(金) 予定
月刊杜の伝言板ゆるる2015年4月号
http://www.yururu.com/?p=894
2015年4月号より〈バックナンバーより掲載〉
~動物を巡る話シリーズ第2弾~ 動物を巡る不幸な話(前編)
大切な家族に見捨てられた犬猫は、そのあまりのショックから立ち直れず、食事も喉を通らず衰弱して死んでしまうことも多いそうです。
人を信じ人に寄り添って生きてきた犬猫が、人の都合のいい身勝手な考えにより、つらい生き方を強いられたり殺されたりする……不幸な動物をこれ以上増やさないためにはどうすればいいのか。
命を救う動物保護に取り組む人たちの地道な活動があります。
保護そして譲渡へ。命をつなぐ
「飼い主が亡くなり誰も引き取り手がいないから」「病気になって入院しないといけないから」様々な理由で、飼われていた犬猫が保健所に持ち込まれるケースが後を絶たないそうです。
最近は高齢者からの持ち込みが多く、高齢者が飼っていた犬猫の大半は高齢です。
「若い犬は更生もできるし、病気もないから引き取り手が見つけやすい。でも高齢の犬猫はいろんなリスクがあって譲渡が難しいんです。譲渡できなければ処分されてしまいます」と、バトンタッチ代表・小松美岐子さんは話します。
殺処分をしないために、バトンタッチでは保健所から犬猫を引き取って保護する一時預かりと、新たな飼い主に引き渡す「命をつなぐ」活動を続けています。
▲バトンタッチの譲渡会の様子
かつては全く無関心な対応で、保護した動物は「不要物」扱いだった保健所も、現在は協力して保護された犬猫をほとんど譲渡に結びつけています。「こんな犬が連れてこられたんだけど…」と保健所からの連絡も多く、譲渡先が見つかった黒パグ・サラもそんな犬の1匹でした。
サラは2015年1月、雪が降るとても寒い日に、加美地区の道路でうずくまっているところを発見され、保健所に収容されました。すごく汚くて泥まみれでやせ細り、下腹部には大きな腫瘍があり、すぐに病院で診察を受けました。
高齢で命の危険が伴う手術はできませんでしたが、懸命な看護と手厚い保護により日に日に元気を取り戻していきました。幸運なことに新たな飼い主が見つかるのに時間はかかりませんでした。バトンタッチを介し、被災した高齢の黒パグを譲渡した経験のある方が、また引き取りたいと手を上げてくれたのです。
バトンタッチされる現場から
2015年3月4日午前11時、新幹線・古川駅にて、新たな飼い主への引き渡し「バトンタッチ」が行われると聞き、現場へ駆けつけました。不安と期待の面持ちで一同が見守る中、早速、サラと新たな飼い主の赤羽みちえさんはご対面。すると、サラは尻尾を振って赤羽さんにすり寄り、今初めて会ったばかりとは思えない様子ですぐに懐いてしまいました。一同、心地よい安堵感に包まれました。
▲バトンタッチ小松さん(左)と赤羽さんとサラちゃん.
以前引き取った高齢で病弱なパグ・ぷぅは、懸命の看護が施されましたが2年余りで亡くなりました。「残りわずかな命だとしても、最高の治療と生活をさせてあげたいんです」と赤羽さん。せめて温かいところで残りの人生を過ごさせてあげたいという、小松さんの活動の根底にある思いと重なります。
どこにも行き場のない動物は、病気だったり、年老いていたり…もう余命が短いとわかっています。飼い主は何度も死と向き合うことになります。飼い主にとって家族となった動物を失うことはとてもつらいことです。それでも助けてあげたいと思う人がいます。
〈後編に続く〉
(取材・執筆 黒森きのこ)
【配信日時】
~動物を巡る話シリーズ第2弾~ 動物を巡る不幸な話(後編)
2016年3月4日(金) 予定
月刊杜の伝言板ゆるる2015年4月号
http://www.yururu.com/?p=894