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健康で安全な消費生活を守るために

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2016/09/21 10:09

健康で安全な消費生活を守るために
若狭 久美子(NPO法人仙台・みやぎ消費者支援ネット 副代表理事)


自分たちの生活を守りたいという消費者の素朴な願いをかなえるため、昭和52年5月に仙台市消費者協会が発足しました。めまぐるしい社会の変化に対応しながら「生活用品の即売会」や「制服リサイクルバンク」などを行い、資源の有効活用にも配慮した活動を行っていました。特に「制服リサイクルバンク」は、中高生の学生さんや父兄の方々に大いに喜ばれていました。(現在休止中)

安全な生活という面では、冬になるとスパイクタイヤにより発生する粉じんのため、環境の汚染、健康への障害、道路の損傷などに関して大きな問題になった昭和57年頃、消費者協会はノースパイクタイヤ運動を展開し、遂には法による規制を実現したことが大きな出来事になりました。

当時は、スパイクタイヤ(車の滑り止めのためタイヤに鉄ピンを装着したもの)使用により、冬になると削り取られた鋪装くずが風で舞い上がって大変な状況でしたが、現在は鉄ピンのないスタットレスタイヤになっています。

消費生活面でさらに発展を続け、暮らしの安全確保や限りある資源を大切にして孫子の代まで生きのびられる環境を保つために、次のことを活動の方針に実践してきました。
①消費者の意見や主張を国、県、市へ要望
②環境保全活動(制服リサイクルバンク、低農薬茶、石けんの普及など)
③調査、研究(ごみ減量、食品の安全性が見える表示など)
④学習啓蒙活動(くらしの講座、学習会など)
 
しかしながら社会の仕組みの変化は著しく、私たち市民の生活に影響を及ぼすようになってきたので、その変化に対応していくため平成20年12月1日に法人化し、NPO法人仙台・みやぎ消費者支援ネット(略称:セミコスネット)に改め、来年40周年を迎えます。

消費者の権利を守る3つの法律

消費者契約法:消費者が誤認・困惑し、それによって契約した時は取り消しができること。

景品表示法:商品やサービスの品質・価格を偽って誤認させる不当な表示に対して、適格消費者団体が差止請求できること。
特定商取引法:特定の取引で不当な行為に対して適格消費者団体が差止請求することができること。

セミコスネットは、特定商取引法の適格消費者団体になっています。

消費者問題への取り組み

1人ひとりの消費者が学びながら、安全、安心な社会をめざし身近な消費者問題について学びあう講座を開催しています。近年に開催した、消費者市民講座をいくつかご紹介します。

「すすめよう!3R」

3Rとは「リデュース(発生抑制)」、「リユース(再利用)」、「リサイクル(再生利用)」の英語の頭文字をとったものです。

「リデュース」は、できるだけごみを出さないため食材は計画的に購入して使い切るなど、「リユース」は、繰り返し使うためビールなどの酒類はできるだけリユースびんを購入し、空ビンは販売店へ持って行くなど、「リサイクル」は、紙類は紙類定期回収又は紙拠点回収、集団資源回収へ出す等のことを言います。(アメニティ・せんだい推進協議会の3Rわかる本2016から抜粋)

この3つのRに取り組むことでごみを限りなく少なくし、そのことでごみの焼却や埋立処分による環境への悪い影響を極力減らすことと、限りある地球の資源を有効に繰り返し使う社会(=循環型社会)をつくろうとする3R活動を知っていただきました。

「消費者詐欺への対策」

最近増加している詐欺の手口として、スマホ・タブレット詐欺があります。急な金策が必要になりネットで今日中に融資可能と書かれていた闇サイトに申し込みをすると、スマホを複数台契約されて、買取業者に送らせるというものです。

騙しのストーリーは、携帯会社とスマホやタブレットを契約させ、スマホやタブレットの現物を送らせる。どこでどういう契約をするのか細かく指定し、後の支払いは心配ないという説明をするがその後の支払い義務は全部契約者が負わされるというものです。

具体例としては病気の夫を支えるためにお金を借りようとしていた主婦や学資の足しにとアルバイトのつもりだったとする予備校生などであり、何かしらの弱みをもっていることが引っ掛かる要因になっています。

「老後の経済的不安」「老後の孤立の不安」「経済的不安定への不安」につけ込む詐欺がありますが、〇〇権利付〇〇社債〇〇債券などもっともらしいネーミングで、確実に儲けられるビジネスであるとPRされるものです。

これら詐欺に騙されないための知識としては、契約の基本を知ることが必要であり、契約とは法律的に意味のある約束のことです。その契約を守るためには合意の内容をきちんと分かっていることが重要になり、その上で自分がそのお金を出すだけの価値があることなのかということを考えることが必要です。結局はなるべく自分の弱みを無くして契約について日頃から慎重に判断することを習慣づけることが重要であり、その意識の向上が図られたと思います。

「食品表示を考える」

平成27年月1日より新しい食品表示制度が始まり、アレルギー表示のルールの改善や、加工食品の栄養成分表示の義務化、新たな機能性表示制度の創設がありましたが、その意味することを皆さんで考え、消費者としての目利きを強化する取り組みをしました。

今年は特に、「独占禁止法&景品表示の概要」では、独占禁止法は市場経済における競争のメリットを享受するために必要なルールを制定したものであり、会社にもたらすメリットや消費者のメリットについての意識を高めました。

たとえば、米市場における産地競争が活発になり、食味と呼ばれる品質が年々向上しています。その結果最上級ランクの特A級が大幅に増加してきていることは消費者にとって望ましいことです。

景品表示法は、不当景品類及び不当表示防止法に関してより良い商品をより安く買うための表示を見抜く力が養成されました。(たとえばカシミヤの混入率と価格の比較で、不当な表示製品を判断することなど)

9月以降は、「古紙リフォーム教室」「相続について」「スマホトラブル」などの講座を行う予定です。

出前相談と講座

セミコスネットでは、出前相談と出前講座も実施しています。最近多い消費者問題は、広告詐欺と特殊詐欺です。

広告詐欺とは、広告内容と実際の内容が異なり、損失が生じるものです。また、特殊詐欺とは、振り込め詐欺(オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺等)と振り込め類似詐欺(金融商品等取引詐欺、ギャンブル必勝情報詐欺、異性交際斡旋詐欺等)の総称です。

出前講座で「消費者被害に遭わないために」と題して、寸劇で「電力の自由化」や「マイナンバー制度」に便乗した詐欺に関しての注意喚起も行っています。この他、仙台市の3R講師派遣事業(出前講座)では、地域に出向いてエコな小物作り教室を行っており、今年も児童館や高齢者施設などに出向いて、エコの意識を高めるために、皆さんが捨てる物を利用して手作りで作品を作る楽しさを体験していただいています。

NPO法人仙台・みやぎ消費者支援ネット事務局
〒980-0811 仙台市青葉区一番町4-1-3
仙台市市民活動サポートセンター7階 レターケース86番
●TEL&FAX:022-265-9469
●E-mail:semicos-net@cosmos.ocn.ne.jp

月刊杜の伝言板ゆるる2016年9月号

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