ゆるるのインターン生がリポートする“NPOで高校生の夏ボラ体験”
その他
2016/09/22 10:14
ゆるるのインターン生がリポートする“NPOで高校生の夏ボラ体験”
杜の伝言板ゆるるインターン 東北大学2年 髙橋 実希
今年も沢山の高校生が夏ボラ体験に参加しました。今回は、2つのNPOでそれぞれ夏ボラ体験をした高校生の様子を、ゆるるでインターンをしている髙橋実希さん(東北大学2年)がお伝えします。
障がい者が輝ける社会を目指して
「NPO法人麦の会」は、国産小麦を使用したパンやクッキーの製造、販売を手掛けるお店「コッペ」を運営している団体です。「コッペ」は障がいのある人もない人も一緒に働ける場所を作ろうと1998年12月に開業しました。
「コッペ」は「障がい者を雇用するための施設」ではなく、「たまたま障がいのある人も共に働いている普通のパン屋さん」を目指しています。また、手間暇をかけて生産された材料を使用してパン・クッキーを作ることや、障がい者と共に働くことを通して、効率優先の社会を見直そうとしています。今回は夏ボラ体験2日目の高校生、今野和音さんと森彩音さんの様子を取材しました。
お店に取材に行ったときは皆さんでパンを作っている最中でした。メンバーやスタッフの皆さんは和気あいあいとしながらも慣れた手つきで自分の仕事をてきぱきとこなし、高校生の2人も一緒にパン作りの手伝いをしていました。
▲「コッぺ」でパン作り
パン作りの後はクッキーとラスク作り。ラスクは1枚1枚丁寧にクリームを塗っていきます。コッペのスタッフ・メンバーは「力を入れ過ぎるとラスクが割れてしまうから気を付けてね〜」と初めての体験に少し緊張気味の高校生に優しく指導していました。アドバイスを聞いて、2人とも集中して取り組んでいました。
この高校生2名のボランティア初日の感想は、「パンやクッキーを作るのが意外と難しく、皆さんからアドバイスを頂いてもなかなか上手くできません。」と苦戦している様子。一方で、「皆さんとコミュニケーションをとりながら、暖かい雰囲気の中で仕事をすることが楽しいです。」と話しました。
▲ラスク作りをする高校生
麦の会の代表理事である飯嶋茂さんは、夏ボラに参加した高校生について、「今年も良い高校生が来たという印象を受けました。おとなしい子もいれば賑やかな子もいて、それぞれ個性があってよかったです。皆さんしっかりしていて、本当に一生懸命活動してくれました。将来社会に出たときに、今回のボランティアで障がい者と共に働いて学んだことを頭の片隅に置いて活動してくれたら嬉しいです。」と話していました。
夏ボラ体験に参加した理由について、今野和音さんは「将来福祉の仕事に就きたいと考えているので、このボランティア体験を将来に活かしたいです。」、森彩音さんは「障がい者が社会の中でどのように働いているのかということを自分の目で見て知りたかったので参加しました。今回ボランティア体験をしてみて、障がい者の方が障がいのない人と変わりなく、ごく普通に仕事をしていることに驚きました。」と力強く話していました。2人にとって今回の夏ボラ体験は障がい者が社会でどのように活躍しているかを知る貴重な経験になったことでしょう。
地域全体で子どもを育てる
「NPO法人石巻スポーツ振興サポートセンター」(以下、サポートセンター)は、様々なスポーツのノウハウを活かしながら、明るく住み良い「街づくり」を目指して活動している団体です。スポーツは、健康維持や心身のリフレッシュだけでなく、子どもの教育やコミュニティの形成など社会的に多くの分野に相乗効果をもたらしてくれます。
石巻市は、東日本大震災で甚大な被害を受けました。サポートセンターでは、「いつでも、どこでも、だれでも」を合言葉に、気軽に参加できるスポーツイベント等を開催し、被災して生活の楽しみを見出せないでいる方々を支援する活動も行っています。
サポートセンターが主催する石巻式キックベースフェスティバルが8月14日に開催され、その準備や審判などを手伝う高校生2名、阿部友里香さんと髙橋愛李さんを取材しました。キックベースとは、サッカーボールを使用して行うスポーツでルールや試合の進め方は野球に近いスポーツです。
バットの代わりに足でサッカーボールを蹴り、グローブはなく手でボールをキャッチします。キックベースフェスティバルには幼稚園児から大人まで幅広い年代の方々が80人ほど参加していました。キックベースをしている皆さんは、とても生き生きとしていました。
サポートセンター理事長の松村善行さんは、「夏ボラ体験をしている高校生には、言われたことだけをやるのではなく、自分で考えて積極的に行動することを学んでほしい。」と話していました。高校生2人は、キックベースの準備や片付けの中で「何かできることはありませんか?」と自分から進んで活動していました。
▲キックベースフェスティバル開会式
夏ボラ体験2日目となる二人にボランティアの感想を聞いてみたところ、髙橋愛李さんは、「将来看護師を目指しているので、今回の夏ボラ体験で大人から子どもまで様々な人と関わることができ、学ぶことが多かったです。」、そして阿部友里香さんは、「初めてキックベースの審判をして戸惑うところもありましたが、大人の方々が親切に教えてくれたので楽しく活動できました。また、子どもとコミュニケーションをとる機会は普段あまりないので貴重な体験でした。」と話していました。二人ともボランティアを通して幅広い年代の人々と関わり、年代に応じたコミュニケーションをとることの難しさや大切さを感じたようです。
松村さんがサポートセンターの活動を始めた理由は、「スポーツを通して社会のルールを学んでほしい」という思いからです。最近は近所づきあいというものが少なくなり、近所のおじさんが子どもを叱る光景などはほとんど見られなくなりました。松村さんは、昔のように地域全体で子どもを育てていく社会を取り戻したい!スポーツはそんな社会をつくる手助けをしてくれる、といいます。今回、キックベースに参加した子どもたちは、審判の判断に納得がいかない時は意見をし、審判の説明を聞いたら納得し、時には我慢するということができていました。
大人と子どもが一緒になってスポーツをすることで、子どもは自然と社会のルールを学ぶことができるのです。明るく住み良い街づくりには、地域全体で協力して子どもたちを育てていく環境が欠かせません。スポーツはそのような街づくりを手助けしてくれるはず。石巻は、そんなスポーツの力でさらに活気のある街になることでしょう。楽しみです。
月刊杜の伝言板ゆるる2016年9月号
http://www.yururu.com/?p=1820
杜の伝言板ゆるるインターン 東北大学2年 髙橋 実希
今年も沢山の高校生が夏ボラ体験に参加しました。今回は、2つのNPOでそれぞれ夏ボラ体験をした高校生の様子を、ゆるるでインターンをしている髙橋実希さん(東北大学2年)がお伝えします。
障がい者が輝ける社会を目指して
「NPO法人麦の会」は、国産小麦を使用したパンやクッキーの製造、販売を手掛けるお店「コッペ」を運営している団体です。「コッペ」は障がいのある人もない人も一緒に働ける場所を作ろうと1998年12月に開業しました。
「コッペ」は「障がい者を雇用するための施設」ではなく、「たまたま障がいのある人も共に働いている普通のパン屋さん」を目指しています。また、手間暇をかけて生産された材料を使用してパン・クッキーを作ることや、障がい者と共に働くことを通して、効率優先の社会を見直そうとしています。今回は夏ボラ体験2日目の高校生、今野和音さんと森彩音さんの様子を取材しました。
お店に取材に行ったときは皆さんでパンを作っている最中でした。メンバーやスタッフの皆さんは和気あいあいとしながらも慣れた手つきで自分の仕事をてきぱきとこなし、高校生の2人も一緒にパン作りの手伝いをしていました。
▲「コッぺ」でパン作り
パン作りの後はクッキーとラスク作り。ラスクは1枚1枚丁寧にクリームを塗っていきます。コッペのスタッフ・メンバーは「力を入れ過ぎるとラスクが割れてしまうから気を付けてね〜」と初めての体験に少し緊張気味の高校生に優しく指導していました。アドバイスを聞いて、2人とも集中して取り組んでいました。
この高校生2名のボランティア初日の感想は、「パンやクッキーを作るのが意外と難しく、皆さんからアドバイスを頂いてもなかなか上手くできません。」と苦戦している様子。一方で、「皆さんとコミュニケーションをとりながら、暖かい雰囲気の中で仕事をすることが楽しいです。」と話しました。
▲ラスク作りをする高校生
麦の会の代表理事である飯嶋茂さんは、夏ボラに参加した高校生について、「今年も良い高校生が来たという印象を受けました。おとなしい子もいれば賑やかな子もいて、それぞれ個性があってよかったです。皆さんしっかりしていて、本当に一生懸命活動してくれました。将来社会に出たときに、今回のボランティアで障がい者と共に働いて学んだことを頭の片隅に置いて活動してくれたら嬉しいです。」と話していました。
夏ボラ体験に参加した理由について、今野和音さんは「将来福祉の仕事に就きたいと考えているので、このボランティア体験を将来に活かしたいです。」、森彩音さんは「障がい者が社会の中でどのように働いているのかということを自分の目で見て知りたかったので参加しました。今回ボランティア体験をしてみて、障がい者の方が障がいのない人と変わりなく、ごく普通に仕事をしていることに驚きました。」と力強く話していました。2人にとって今回の夏ボラ体験は障がい者が社会でどのように活躍しているかを知る貴重な経験になったことでしょう。
地域全体で子どもを育てる
「NPO法人石巻スポーツ振興サポートセンター」(以下、サポートセンター)は、様々なスポーツのノウハウを活かしながら、明るく住み良い「街づくり」を目指して活動している団体です。スポーツは、健康維持や心身のリフレッシュだけでなく、子どもの教育やコミュニティの形成など社会的に多くの分野に相乗効果をもたらしてくれます。
石巻市は、東日本大震災で甚大な被害を受けました。サポートセンターでは、「いつでも、どこでも、だれでも」を合言葉に、気軽に参加できるスポーツイベント等を開催し、被災して生活の楽しみを見出せないでいる方々を支援する活動も行っています。
サポートセンターが主催する石巻式キックベースフェスティバルが8月14日に開催され、その準備や審判などを手伝う高校生2名、阿部友里香さんと髙橋愛李さんを取材しました。キックベースとは、サッカーボールを使用して行うスポーツでルールや試合の進め方は野球に近いスポーツです。
バットの代わりに足でサッカーボールを蹴り、グローブはなく手でボールをキャッチします。キックベースフェスティバルには幼稚園児から大人まで幅広い年代の方々が80人ほど参加していました。キックベースをしている皆さんは、とても生き生きとしていました。
サポートセンター理事長の松村善行さんは、「夏ボラ体験をしている高校生には、言われたことだけをやるのではなく、自分で考えて積極的に行動することを学んでほしい。」と話していました。高校生2人は、キックベースの準備や片付けの中で「何かできることはありませんか?」と自分から進んで活動していました。
▲キックベースフェスティバル開会式
夏ボラ体験2日目となる二人にボランティアの感想を聞いてみたところ、髙橋愛李さんは、「将来看護師を目指しているので、今回の夏ボラ体験で大人から子どもまで様々な人と関わることができ、学ぶことが多かったです。」、そして阿部友里香さんは、「初めてキックベースの審判をして戸惑うところもありましたが、大人の方々が親切に教えてくれたので楽しく活動できました。また、子どもとコミュニケーションをとる機会は普段あまりないので貴重な体験でした。」と話していました。二人ともボランティアを通して幅広い年代の人々と関わり、年代に応じたコミュニケーションをとることの難しさや大切さを感じたようです。
松村さんがサポートセンターの活動を始めた理由は、「スポーツを通して社会のルールを学んでほしい」という思いからです。最近は近所づきあいというものが少なくなり、近所のおじさんが子どもを叱る光景などはほとんど見られなくなりました。松村さんは、昔のように地域全体で子どもを育てていく社会を取り戻したい!スポーツはそんな社会をつくる手助けをしてくれる、といいます。今回、キックベースに参加した子どもたちは、審判の判断に納得がいかない時は意見をし、審判の説明を聞いたら納得し、時には我慢するということができていました。
大人と子どもが一緒になってスポーツをすることで、子どもは自然と社会のルールを学ぶことができるのです。明るく住み良い街づくりには、地域全体で協力して子どもたちを育てていく環境が欠かせません。スポーツはそのような街づくりを手助けしてくれるはず。石巻は、そんなスポーツの力でさらに活気のある街になることでしょう。楽しみです。
月刊杜の伝言板ゆるる2016年9月号
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