- 高齢者が安心・安全に運転できる3つの意識 「第2回 1つ目:認知の意識」
- 高齢者が安心・安全に運転できる3つの意識 「第3回 2つ目:判断の意識」
- 高齢者が安心・安全に運転できる3つの意識 「第4回 3つ目:行動の意識」
- 高齢者が安心・安全に運転できる3つの意識 「第5回 事例:逆走問題」
高齢者が安心・安全に運転できる3つの意識 「第1回 運転への慣れ」
東北大学
2016/12/12 11:15
第1回「運転への慣れ」
私は,表紙のドライビングシミュレータを活用して運転者の様々な行動を計測,分析して,事故の原因となる行動の解明を行っています.
最近特に,高齢者の事故がニュースなどで取り上げられていますが,今までニュースになっていなかっただけで,高齢者による事故は,人口に対する高齢者割合増加と比例して増えています.
高齢者による事故はなぜ起きてしまうのか?
よく言われているのが,過信や慢心による「運転の慣れ」によるちょっとしたミスに起因します.運転中のある【3つ意識】を無意識から少し意識して行うことで事故を起こす可能性を低減し,今以上に安心にかつ安全な運転が期待できます.
その3つの意識とは,図1に示す「認知」「判断」「行動」であり,実は我々が昔,教習所で習った運転をするために重要な一連の動作が,高齢に伴い能力が低下して対応できなくなってしまっていることが挙げられます.
運転中に3つの意識はどこで必要なのかを
第2回では「認知」
第3回では「判断」
第4回では「行動」
第5回では「事例:逆走問題」
をテーマに述べていきたいと思います.
「速度」
私たちが移動したい場合,徒歩が最も簡単な移動手段であり,走ることで速く移動もできます.人はさらに速く移動したいと思い,馬など動物を活用し,さらには自転車や車,電車,飛行機と次々と速く移動できる道具を発明してきました.
しかし,走る以上の速度は,自分自身(内部)で生み出せない速さ故,道具(外部)により生じた速さに慣れるために訓練して道具を使いこなす技量を身に付け,一時的に適応できるようにしています.慣れや技量を持つことで経験が自信に変わり,過信も生みます.
さらに,人の集中力は約1時間と言われてり,なおかつ運転で速い速度下に身を置いている状態では,その集中力はさらに短くなります.集中力がなくなってくると人はミスを犯し易く,それが事故につながります.
先に述べた3つの意識は,運転速度が速いと各々かけられる時間が短くなり,運転速度が遅いとかけられる時間が長くなりますので,まずは,運転速度を抑える意識が重要と言えます.法定速度を超えがちな日本の道路交通,速くなる走行速度を意識して遅くすることで今よりは余裕ができ,3つの意識にかけられる時間を増やすことができるようになり,ミスを起こすリスクを低減することができるようになります.運転速度調整は,安全運転への第一歩ではないかと言えます.
次回,「1つ目:認知の意識」について述べたいと思います.
次回は第2回「1つ目:認知の意識」です。
配信日程:12月13日(火)配信予定
【プロフィール】
山邉 茂之(やまべ しげゆき)
東北大学未来科学技術共同研究センター准教授
ホームページ http://mobility.niche.tohoku.ac.jp/
2007年京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻博士課程修了。東京大学生産技術研究所を経て、2013年より現職。車両工学、シミュレーション工学を専門として、事故など現実では再現が難しいシチュエーションをシミュレータの活用により、運転者の運転行動計測や生体計測から原因解明を行う研究をしている。
私は,表紙のドライビングシミュレータを活用して運転者の様々な行動を計測,分析して,事故の原因となる行動の解明を行っています.
最近特に,高齢者の事故がニュースなどで取り上げられていますが,今までニュースになっていなかっただけで,高齢者による事故は,人口に対する高齢者割合増加と比例して増えています.
高齢者による事故はなぜ起きてしまうのか?
よく言われているのが,過信や慢心による「運転の慣れ」によるちょっとしたミスに起因します.運転中のある【3つ意識】を無意識から少し意識して行うことで事故を起こす可能性を低減し,今以上に安心にかつ安全な運転が期待できます.
その3つの意識とは,図1に示す「認知」「判断」「行動」であり,実は我々が昔,教習所で習った運転をするために重要な一連の動作が,高齢に伴い能力が低下して対応できなくなってしまっていることが挙げられます.
運転中に3つの意識はどこで必要なのかを
第2回では「認知」
第3回では「判断」
第4回では「行動」
第5回では「事例:逆走問題」
をテーマに述べていきたいと思います.
「速度」
私たちが移動したい場合,徒歩が最も簡単な移動手段であり,走ることで速く移動もできます.人はさらに速く移動したいと思い,馬など動物を活用し,さらには自転車や車,電車,飛行機と次々と速く移動できる道具を発明してきました.
しかし,走る以上の速度は,自分自身(内部)で生み出せない速さ故,道具(外部)により生じた速さに慣れるために訓練して道具を使いこなす技量を身に付け,一時的に適応できるようにしています.慣れや技量を持つことで経験が自信に変わり,過信も生みます.
さらに,人の集中力は約1時間と言われてり,なおかつ運転で速い速度下に身を置いている状態では,その集中力はさらに短くなります.集中力がなくなってくると人はミスを犯し易く,それが事故につながります.
先に述べた3つの意識は,運転速度が速いと各々かけられる時間が短くなり,運転速度が遅いとかけられる時間が長くなりますので,まずは,運転速度を抑える意識が重要と言えます.法定速度を超えがちな日本の道路交通,速くなる走行速度を意識して遅くすることで今よりは余裕ができ,3つの意識にかけられる時間を増やすことができるようになり,ミスを起こすリスクを低減することができるようになります.運転速度調整は,安全運転への第一歩ではないかと言えます.
次回,「1つ目:認知の意識」について述べたいと思います.
次回は第2回「1つ目:認知の意識」です。
配信日程:12月13日(火)配信予定
【プロフィール】
山邉 茂之(やまべ しげゆき)
東北大学未来科学技術共同研究センター准教授
ホームページ http://mobility.niche.tohoku.ac.jp/
2007年京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻博士課程修了。東京大学生産技術研究所を経て、2013年より現職。車両工学、シミュレーション工学を専門として、事故など現実では再現が難しいシチュエーションをシミュレータの活用により、運転者の運転行動計測や生体計測から原因解明を行う研究をしている。