- 高齢者が安心・安全に運転できる3つの意識 「第1回 運転への慣れ」
- 高齢者が安心・安全に運転できる3つの意識 「第2回 1つ目:認知の意識」
- 高齢者が安心・安全に運転できる3つの意識 「第3回 2つ目:判断の意識」
- 高齢者が安心・安全に運転できる3つの意識 「第5回 事例:逆走問題」
高齢者が安心・安全に運転できる3つの意識 「第4回 3つ目:行動の意識」
東北大学
2016/12/15 10:42
第4回「3つ目:行動の意識」
安全に運転するために再度意識してもらいたい「認知」「判断」「行動」の3つの意識の最後の「行動」について考えていきます.行動は,認知と判断のアウトプットの1つではありますが,第1回に載せている図の通りこれら意識はサイクルしており「鶏が先か、卵が先か」と同じで「行動」を起こした結果「認知」するきっかけを得ることもできます.
「ルーティンとディストラクション」
運転中の行動は,
・見る(目)
・回す(手):ハンドル
・上げる・下ろす(手):ウインカーなど
・踏む・離す(足):アクセル・ブレーキ
・何もしない=維持
に大まかに分類されるかと思います.
ここで,最近テレビなどで “ルーティン”という言葉をお聞きになったことがある方も多いと思います.日本語で言うと「習慣」や「繰り返し」の意味になります.繰り返しは,その行為を維持し続けるとも捉えることができ,運転行動自体が意識を高く持たずにできてしまい,運転中に運転以外のことを考えてしまうことをディストラクション行動と言うのですが,このディストラクションを起こす時間が長くなってしまうと事故を起こす可能性を高めてしまいます.
「2つ同時の行動は避けるべき」
ルーティン行動以外を複数行わないといけない場面が一番危険な状態と言えます.例えば,発進は,ハンドルを維持したままでアクセルを踏む行動,停止はハンドルを維持したままブレーキを踏む行動で“アクセルを踏む”または“ブレーキを踏む”の1つの行動のみと言い換えることができます.
一方,交差点を曲がる方法の2通りを紹介すると,
①交差点進入前に減速して,アクセルまたはブレーキを踏まずに惰性でハンドルの操作1つで曲がる方法
②交差点進入前に減速し過ぎたり,速度が速かった場合などは,アクセルかブレーキを踏みながらハンドルを回さないと行けなくなり,2つの行動を同時に行って曲がる方法
の2通りで比較すると,後者の2つの行動を同時に行ってしまうとどちらの行動も精度が低下して,操作ミスを誘発する可能性を高めます.私もカーブを曲がりながら加速や減速をする2つの行動を同時に行うのは,運転負荷を感じます.
ルーティン行動以外を行う際,アクセルとブレーキを同時に操作する方はほとんどいないと思いますので,意識する点は,「ハンドル+アクセル」か「ハンドル+ブレーキ」となり,これらをなるべく同時に行わず,どちらかの行動が済んだら次の行動をするように心がければ,操作ミスは大分減ると思います.
運転行動における3つの「認知・判断・行動」を知った上で,次回「事例:逆走問題」について述べたいと思います.
次回は第5回「事例:逆走問題」です。
配信日程:12月16日(金)配信予定
【プロフィール】
山邉 茂之(やまべ しげゆき)
東北大学未来科学技術共同研究センター准教授
ホームページ http://mobility.niche.tohoku.ac.jp/
2007年京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻博士課程修了。東京大学生産技術研究所を経て、2013年より現職。車両工学、シミュレーション工学を専門として、事故など現実では再現が難しいシチュエーションをシミュレータの活用により、運転者の運転行動計測や生体計測から原因解明を行う研究をしている。
【バックナンバー】
高齢者が安心・安全に運転できる3つの意識
第1回 「運転への慣れ
第2回 「1つ目:認知の意識」
第3回 「2つ目:判断の意識」
安全に運転するために再度意識してもらいたい「認知」「判断」「行動」の3つの意識の最後の「行動」について考えていきます.行動は,認知と判断のアウトプットの1つではありますが,第1回に載せている図の通りこれら意識はサイクルしており「鶏が先か、卵が先か」と同じで「行動」を起こした結果「認知」するきっかけを得ることもできます.
「ルーティンとディストラクション」
運転中の行動は,
・見る(目)
・回す(手):ハンドル
・上げる・下ろす(手):ウインカーなど
・踏む・離す(足):アクセル・ブレーキ
・何もしない=維持
に大まかに分類されるかと思います.
ここで,最近テレビなどで “ルーティン”という言葉をお聞きになったことがある方も多いと思います.日本語で言うと「習慣」や「繰り返し」の意味になります.繰り返しは,その行為を維持し続けるとも捉えることができ,運転行動自体が意識を高く持たずにできてしまい,運転中に運転以外のことを考えてしまうことをディストラクション行動と言うのですが,このディストラクションを起こす時間が長くなってしまうと事故を起こす可能性を高めてしまいます.
「2つ同時の行動は避けるべき」
ルーティン行動以外を複数行わないといけない場面が一番危険な状態と言えます.例えば,発進は,ハンドルを維持したままでアクセルを踏む行動,停止はハンドルを維持したままブレーキを踏む行動で“アクセルを踏む”または“ブレーキを踏む”の1つの行動のみと言い換えることができます.
一方,交差点を曲がる方法の2通りを紹介すると,
①交差点進入前に減速して,アクセルまたはブレーキを踏まずに惰性でハンドルの操作1つで曲がる方法
②交差点進入前に減速し過ぎたり,速度が速かった場合などは,アクセルかブレーキを踏みながらハンドルを回さないと行けなくなり,2つの行動を同時に行って曲がる方法
の2通りで比較すると,後者の2つの行動を同時に行ってしまうとどちらの行動も精度が低下して,操作ミスを誘発する可能性を高めます.私もカーブを曲がりながら加速や減速をする2つの行動を同時に行うのは,運転負荷を感じます.
ルーティン行動以外を行う際,アクセルとブレーキを同時に操作する方はほとんどいないと思いますので,意識する点は,「ハンドル+アクセル」か「ハンドル+ブレーキ」となり,これらをなるべく同時に行わず,どちらかの行動が済んだら次の行動をするように心がければ,操作ミスは大分減ると思います.
運転行動における3つの「認知・判断・行動」を知った上で,次回「事例:逆走問題」について述べたいと思います.
次回は第5回「事例:逆走問題」です。
配信日程:12月16日(金)配信予定
【プロフィール】
山邉 茂之(やまべ しげゆき)
東北大学未来科学技術共同研究センター准教授
ホームページ http://mobility.niche.tohoku.ac.jp/
2007年京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻博士課程修了。東京大学生産技術研究所を経て、2013年より現職。車両工学、シミュレーション工学を専門として、事故など現実では再現が難しいシチュエーションをシミュレータの活用により、運転者の運転行動計測や生体計測から原因解明を行う研究をしている。
【バックナンバー】
高齢者が安心・安全に運転できる3つの意識
第1回 「運転への慣れ
第2回 「1つ目:認知の意識」
第3回 「2つ目:判断の意識」