設立35周年を迎えたあかねグループ 学習と実践を両輪に 認定NPO法人あかねグループ
2017/02/15 10:44
設立35周年を迎えたあかねグループ 学習と実践を両輪に 認定NPO法人あかねグループ
仙台市若林区で「誰もがいつまでも住み慣れた地域で、安心して暮らしていける街づくり」をめざし、支え合いの活動をしている認定NPO法人あかねグループが、この2月で35周年を迎えます。
仙台では市民活動の老舗的位置づけで、現在も女性が中心の多くのスタッフと共に、配食サービスや訪問介護サービス、ファミリーサポート事業、サロン活動などを展開しています。
あかねグループの夜明け
(あかね誌35周年記念号から)
35周年を祝う記念講演会に合わせ、あかね誌35周年記念号が発行されました。そこに掲載されているあかねの5人の歴代代表が寄稿した「あかね35周年に寄せて」には、これまでのあゆみを振り返った文章が綴られています。
「嫁でもなく、妻でもなく、母でもなく、1人の女性として生き生き輝きながら社会参加しませんか」と呼びかけたチラシに応じて発足に加わったという3代目代表の藤田佐和子さん。「小さい子どもがいましたが、矢も楯もたまらず飛び込みました。そこで出会ったのは、何かしたい!自分の能力や技に磨きをかけ活かしたい!と目をキラキラさせている女性たちでした。」と当時を振り返っています。
この呼びかけ人が、初代代表の福永隆子さんです。福永さんは、長く神戸生協で働いていましたが、子育てが終わって50代後半になったとき、高齢になった母親の暮らしを支えようと、故郷である仙台に戻ってきました。仕事を探しましたが、なかなか見つからなかったことから、自ら立ち上げよう!と、地域の女性にチラシで呼びかけたのです。
この時集まったのが、福永さん、藤田さんを含め、10人の門出。名前は、「夜明けから明るくなる東の空の色によせて、あかねグループ」としました。1982年2月3日、ここから築70年という古民家を拠点に、活動が始まりました。
▲この場所から活動が始まりました
福永さんは、「体の不自由になったお年寄りの手助け、幼児を持つ若い母親へのヘルプ、純正食品の仕入れと、活動の幅は広がる。ヘルプは1回500円とした。“あかねはお金を取る”と、まわりのグループから叩かれたが、仲間は増え続けた。時代が待っていた仕事だったのだろう」と振り返り、今でこそ増えている「有償ボランティア」の仕組を始めたのです。
地域の福祉拠点
嫁が年老いた親の介護をすることが仕事という考えが多かった時代に、地域全体で高齢者を支えるという社会を目指した活動は、設立から2年後、老人給食配食サービスを開始します。月2回、18食からのスタートでした。
その10年後には、拠点のあかねセンターを南小泉に移し、その秋から仙台市からの助成金で仙台市配食サービスモデル事業を開始。回数も週2回、年間1,629食に増えました。そして2000年には、活動拠点を現在の遠見塚に移し、2年後には指定訪問介護サービス事業、その翌年、配食事業は仙台市からの委託事業として毎日型の配食サービスを始めています。
その後は、2005年に指定居宅介護支援事業を開所、2006年には移動サービス運送を開始、2009年に高齢者ふれあいサロン開設、と次々に展開し、まさに「地域でひとりの人をトータルに支える福祉NPOのサービス提供拠点」となっていきます。
それは発足時の予算額が1,700円に比べ、34年目の2015年度が8,932万円と大きく増加していることを見ても事業規模が大きくなったことが分かります。
あかね学校
「赤ちゃんから高齢者まで、共に支え合いながら安心して暮らせるまちづくり」を目指して活動するあかねグループは、同時に、だれでもが参加しやすいボランティア活動の場であり、生涯学習の場であるといえます。
「出会い」「ふれあい」「学び合い」を合言葉に、会員は、一人ひとりの個性を磨きながら、仲間づくりと、社会参加をしています。
学びの機会として、設立した年に第1回みやぎ女性の自立と老いを考えるシンポ開催をはじめ、講演会やシンポジウムを多数開催しているほか、「思秋期よさようなら」「なんとかしなくちゃ」「素顔の主演女優たち」等、出版物も多い。いずれも会員である仲間たちとの共作であり、活動を通して一緒に学んできた足跡でもあります。
その証として、これまでの35年間に、1984年には女性の活躍に贈られるエイボン女性サポート賞を受賞したほか、ふるさとづくり賞内閣官房長官賞、地域づくり総務大臣賞など、たくさんの賞を受けています。
老人介護の社会化
「高齢者になっても住み慣れた我が家で生涯暮らし続けられる福祉のまちづくり」を目指して始まったこの活動ですが、この35年間に高齢者ケアの環境は大きく揺れています。
2000年4月からスタートした介護保険制度は、介護を必要とする状態になっても安心して生活が送れるよう、介護を社会全体で支えることを目的に始まったもので、初めて福祉が営利企業にも事業実施者として開かれ、社会福祉法人やNPO法人、そして多くの企業も参入しています。このことで家庭で、特に嫁である女性に委ねられていた高齢者の介護が制度によってその役割を事業者が担い社会化されていきました。
あかねグループも事業者として地域の福祉を担い、「看る側も看られる側も、ともに人間らしく!」を合言葉に進めてきましたが、2017年度には、要支援者へのサービスの一部や介護予防事業が各自治体に委ねられていきます。その環境によっては、体制が取れない地域では、各家庭が看ることになるか、地域の女性やシニアの総動員により担うことになりそうです。それも介護保険事業での対価とは違い、限りなくボランタリー性を求められていくでしょう。
少子高齢化による労働力不足の時代に入るこれから、女性の労働力への期待と、一方で、地域のボランティア活動への参加が期待される訳です。
▲現在のあかねグループ事務所
あかねグループ現理事長の清水福子さんは、35周年記念講演会のあいさつで「今までの貴重な体験と多くの利用者様との出会いを大切にして、これからもあかねらしい活動が続けられるように、経験を生かし、学び合い、地域の皆様と会員の支え合う市民活動を継続していきます。支えられる側も支える側も共に元気な街を目指していきます」と話しました。これから期待される活動の一つのモデルとなっていくことと期待しています。
▲あかねグループ現理事長 清水さん
認定NPO法人あかねグループ
〒984-0823 仙台市若林区遠見塚1-5-35
●T E L:022-285-0945
●FA X:022-282-4788
●E-mail:npoakane@violin.ocn.ne.jp
●URL:http://npo-akane-group.jimdo.com/
月刊 杜の伝言板 月刊ゆるる 2017年2月号
http://www.yururu.com/?p=2222
仙台市若林区で「誰もがいつまでも住み慣れた地域で、安心して暮らしていける街づくり」をめざし、支え合いの活動をしている認定NPO法人あかねグループが、この2月で35周年を迎えます。
仙台では市民活動の老舗的位置づけで、現在も女性が中心の多くのスタッフと共に、配食サービスや訪問介護サービス、ファミリーサポート事業、サロン活動などを展開しています。
あかねグループの夜明け
(あかね誌35周年記念号から)
35周年を祝う記念講演会に合わせ、あかね誌35周年記念号が発行されました。そこに掲載されているあかねの5人の歴代代表が寄稿した「あかね35周年に寄せて」には、これまでのあゆみを振り返った文章が綴られています。
「嫁でもなく、妻でもなく、母でもなく、1人の女性として生き生き輝きながら社会参加しませんか」と呼びかけたチラシに応じて発足に加わったという3代目代表の藤田佐和子さん。「小さい子どもがいましたが、矢も楯もたまらず飛び込みました。そこで出会ったのは、何かしたい!自分の能力や技に磨きをかけ活かしたい!と目をキラキラさせている女性たちでした。」と当時を振り返っています。
この呼びかけ人が、初代代表の福永隆子さんです。福永さんは、長く神戸生協で働いていましたが、子育てが終わって50代後半になったとき、高齢になった母親の暮らしを支えようと、故郷である仙台に戻ってきました。仕事を探しましたが、なかなか見つからなかったことから、自ら立ち上げよう!と、地域の女性にチラシで呼びかけたのです。
この時集まったのが、福永さん、藤田さんを含め、10人の門出。名前は、「夜明けから明るくなる東の空の色によせて、あかねグループ」としました。1982年2月3日、ここから築70年という古民家を拠点に、活動が始まりました。
▲この場所から活動が始まりました
福永さんは、「体の不自由になったお年寄りの手助け、幼児を持つ若い母親へのヘルプ、純正食品の仕入れと、活動の幅は広がる。ヘルプは1回500円とした。“あかねはお金を取る”と、まわりのグループから叩かれたが、仲間は増え続けた。時代が待っていた仕事だったのだろう」と振り返り、今でこそ増えている「有償ボランティア」の仕組を始めたのです。
地域の福祉拠点
嫁が年老いた親の介護をすることが仕事という考えが多かった時代に、地域全体で高齢者を支えるという社会を目指した活動は、設立から2年後、老人給食配食サービスを開始します。月2回、18食からのスタートでした。
その10年後には、拠点のあかねセンターを南小泉に移し、その秋から仙台市からの助成金で仙台市配食サービスモデル事業を開始。回数も週2回、年間1,629食に増えました。そして2000年には、活動拠点を現在の遠見塚に移し、2年後には指定訪問介護サービス事業、その翌年、配食事業は仙台市からの委託事業として毎日型の配食サービスを始めています。
その後は、2005年に指定居宅介護支援事業を開所、2006年には移動サービス運送を開始、2009年に高齢者ふれあいサロン開設、と次々に展開し、まさに「地域でひとりの人をトータルに支える福祉NPOのサービス提供拠点」となっていきます。
それは発足時の予算額が1,700円に比べ、34年目の2015年度が8,932万円と大きく増加していることを見ても事業規模が大きくなったことが分かります。
あかね学校
「赤ちゃんから高齢者まで、共に支え合いながら安心して暮らせるまちづくり」を目指して活動するあかねグループは、同時に、だれでもが参加しやすいボランティア活動の場であり、生涯学習の場であるといえます。
「出会い」「ふれあい」「学び合い」を合言葉に、会員は、一人ひとりの個性を磨きながら、仲間づくりと、社会参加をしています。
学びの機会として、設立した年に第1回みやぎ女性の自立と老いを考えるシンポ開催をはじめ、講演会やシンポジウムを多数開催しているほか、「思秋期よさようなら」「なんとかしなくちゃ」「素顔の主演女優たち」等、出版物も多い。いずれも会員である仲間たちとの共作であり、活動を通して一緒に学んできた足跡でもあります。
その証として、これまでの35年間に、1984年には女性の活躍に贈られるエイボン女性サポート賞を受賞したほか、ふるさとづくり賞内閣官房長官賞、地域づくり総務大臣賞など、たくさんの賞を受けています。
老人介護の社会化
「高齢者になっても住み慣れた我が家で生涯暮らし続けられる福祉のまちづくり」を目指して始まったこの活動ですが、この35年間に高齢者ケアの環境は大きく揺れています。
2000年4月からスタートした介護保険制度は、介護を必要とする状態になっても安心して生活が送れるよう、介護を社会全体で支えることを目的に始まったもので、初めて福祉が営利企業にも事業実施者として開かれ、社会福祉法人やNPO法人、そして多くの企業も参入しています。このことで家庭で、特に嫁である女性に委ねられていた高齢者の介護が制度によってその役割を事業者が担い社会化されていきました。
あかねグループも事業者として地域の福祉を担い、「看る側も看られる側も、ともに人間らしく!」を合言葉に進めてきましたが、2017年度には、要支援者へのサービスの一部や介護予防事業が各自治体に委ねられていきます。その環境によっては、体制が取れない地域では、各家庭が看ることになるか、地域の女性やシニアの総動員により担うことになりそうです。それも介護保険事業での対価とは違い、限りなくボランタリー性を求められていくでしょう。
少子高齢化による労働力不足の時代に入るこれから、女性の労働力への期待と、一方で、地域のボランティア活動への参加が期待される訳です。
▲現在のあかねグループ事務所
あかねグループ現理事長の清水福子さんは、35周年記念講演会のあいさつで「今までの貴重な体験と多くの利用者様との出会いを大切にして、これからもあかねらしい活動が続けられるように、経験を生かし、学び合い、地域の皆様と会員の支え合う市民活動を継続していきます。支えられる側も支える側も共に元気な街を目指していきます」と話しました。これから期待される活動の一つのモデルとなっていくことと期待しています。
▲あかねグループ現理事長 清水さん
認定NPO法人あかねグループ
〒984-0823 仙台市若林区遠見塚1-5-35
●T E L:022-285-0945
●FA X:022-282-4788
●E-mail:npoakane@violin.ocn.ne.jp
●URL:http://npo-akane-group.jimdo.com/
月刊 杜の伝言板 月刊ゆるる 2017年2月号
http://www.yururu.com/?p=2222