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【つながりの経済学】第1回 つながりの経済学とは

2016/04/18 10:23

第1回 つながりの経済学とは

これからつながりの経済学について5回に分けてお話しします。そもそもつながりの経済学とはいったい何なのでしょうか。また、そもそもここでいうつながりとはいったい何なのでしょうか。

我々人間はたった一人で生きていくことはできません。家族、友人、同級生、ご近所さんや職場の同僚など、常に誰かとつながって生きています。また、このようなつながりは、我々の生活や人生にも大きな影響を与えています。

例えば、とてもよく勉強する仲のいいクラスメートがいれば、自分もその影響を受けて勉強をするようになるかもしれません。あるいはたばこを吸う友人の影響で、自分もたばこを吸うようになることもあるかもしれません。このように、我々人間にとって他人とのつながりは、自分の人生におおきく影響しています。

このようなつながりは我々人間の日常にとって重要であるだけでなく、経済活動においても実はとても重要な役割を果たしています。
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例えば、経済活動の重要な主体である企業は、一社のみでは活動することはできません。企業もやはり企業間のつながりの中で活動しているのです。たとえば企業が何かを生産するためには部品や材料が必要で、それを売ってくれる企業とのつながりが必要です。また、作った生産物は誰かに買ってもらわないと利益を出すことができません。生産物を買ってくれる企業とのつながりがやはり必要であるわけです。

さらには銀行からお金を借りることが必要なときもあるでしょう。この場合は企業と銀行との間のつながりが重要になりますし、大学と共同研究を行うような機会もあるかもしれません。この場合は企業と大学とのつながりが重要になるわけです。図1は企業同士の共同研究関係を示した図です。様々な企業が様々な企業と共同研究を行っていることが見て取れます。このように、経済活動の重要な主体たる企業も人間と同様その他の企業、銀行、大学などどのつながりの中で活動しているのです。


図1 企業間の共同研究関係のつながり

この連載では、このような企業間のつながりがどのように経済活動、企業活動にとって重要な役割を果たすのかについてお話ししようと思います。

次回は「第2回 東日本大震災と企業間のつながり」です。
配信日程:4月19日(火) 予定


【プロフィール】
東北大学大学院経済学研究科准教授 中島 賢太郎(なかじま けんたろう)
2003年東京大学経済学部卒業、2008年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)
東北大学、一橋大学を経て、2011年4月より現職。
専門は空間経済学・都市経済学・経済発展論。これらの分野を中心に、データを用いた統計的実証研究を行っている。