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-東日本大震災から5年を経て- 募金サイト『復興みやぎ』で支援したNPOの「今」第3弾 後編

2016/05/26 09:51

-東日本大震災から5年を経て-
募金サイト『復興みやぎ』で支援したNPOの「今」第3弾 後編

http://www.fukkou-miyagi.jp/

『復興みやぎ』で支援した9団体の中から、本誌面では3団体をご紹介しています。

●NPO法人輝くなかまチャレンジド
●NPO法人なごみ
●NPO法人創る村

「復興みやぎ(http://www.fukkou-miyagi.jp/)では、下記6団体の最新情報も掲載中です。

●NPO法人住民互助福祉団体ささえ愛山元
●NPO法人泉里会
●NPO法人どんぐりの家
●NPO法人のんび~りすみちゃんの家
●NPO法人みどり会
●NPO法人みやぎ身体障害者サポートクラブ

甚大な被害をもたらした東日本大震災後、杜の伝言板ゆるるは募金サイト『復興みやぎ』を立ち上げ、被災地で活動を続けるNPO法人への寄付を呼びかけてきました。当サイトでご紹介している9団体から現在の復興状況を伺い、3月号からお伝えしてきた連載の最終回をお届けします。


地域の社会復興に全力投球

▲【なごみ】敬老会の様子

家庭的な環境の中で安心して暮らせる、高齢者にとってやさしい社会の実現を目指すNPO法人なごみは、宮城県気仙沼市で6事業所、岩手県一関市では3事業所の介護サービス施設を運営していましたが、東日本大震災で、気仙沼市本吉にある施設4棟が津波により流出しました。

それに伴い、被災を免れた定員9名の事業所に、行き場を失った利用者18名が臨時的に入所する事態も強いられました。

利用者のために、一刻も早く再建しようと奔走し、2011年6月に着工、10月には新施設で利用者の受け入れを始めました。

流された4事業所のうち1つは、国の交付金で建てたため、費用の6分の5が補助されますが、独力で建てた施設は自ら再建しなければいけません。流失した建物の借入も残ったままで、2重ローンという壁にも直面しました。改修・建築費用に対し4分の1まで補助される、宮城県の補助金を利用してもまだ足りません。自分達で工面しながら、募金サイトなどで資金を募るとともに、民間の助成金も活用しました。

「震災直後は、利用者を亡くし気持ちが沈む中で、利用者や職員を励ます立場でもあり、自分を奮い立たせながら苦しい日々を過ごしました。地域の復興のため、もっとできることがあったのではないか、と今も頭をよぎりますが、目の前のことをこなしていくだけでも精一杯で、あっという間に過ぎ行く5年でした」と法人統括本部長の木村伸之さんは当時を振り返ります。

常に利用者の心身を考えながら、居場所づくりに尽力した木村さん。今では気仙沼市と岩手県に、グループホーム、デイサービス、ケアプランセンター(居宅介護支援事業所)、小規模多機能ホーム、ケアハウス、合わせて14の施設を運営しています。震災後の素早い決断と実行力により、施設の利用者や地域住民からの信頼も厚く、現在60名以上が、施設の入居を待っていると言います。

また、気仙沼市から「LSA(生活支援員)事業」を受託し、災害公営住宅内に設置された高齢者相談室も運営、さらに一関市では被災者生活再建支援のためのサポートセンター一棟を担うなど、地域社会福祉の復興の一助になる活動も積極的に行っています。

気仙沼地区は資金面だけでなく、人手不足という課題も抱えています。人口減少に比例して、労働人口が減り、職員の確保も難しいのが現状です。

そんな中ここ数年、子どもを授かる職員が増えていると木村さん。「人口が減る一方、新しい命が誕生していることが嬉しい。産休後戻ってきてくれる職員のためにも、子育てに取り組める職場環境も整えていきたい」と今後の抱負を話します。

なごみの地域を想い、寄り添う活動スタイルが、未来の豊かな社会づくりにつながっていきます。

これからも続く創る村の挑戦

▲【創る村】敬老施設「老莱子の家」

NPO法人創る村は、高齢者向けのデイサービス・宅老所と、学校になじめない子ども達のためのフリースクールを併設した施設を運営し、目の前に松島湾が広がる東松島市新東名を拠点に、音楽や芸術、食事などを通して、高齢者も子どももお互いに尊敬し合い、交流できる環境づくりに取り組んでいます。

2011年4月に新設した福祉施設「老莱子(ろうらいし)の家」開設に向け、3月5日に祝賀会を行ったばかりだったあの日、ここにも津波がやってきました。

1階部分は浸水しましたが、全員無事に避難しました。人命救助やけが人の手当ても、職員が積極的に取り組み、近所の方や被災者も身を寄せ、「老莱子の家」は1週間ほど、20名を越える人の避難所になりました。

利用者や子ども達に早く安心できる場所を提供したい、と再建も急がなければいけません。しかし、「老莱子の家」の改修費用には1,722万円、他の施設再建にも多額の費用が必要です。

募金サイト『復興みやぎ』で設定した寄付の目標額は2,622万円。全国から寄付金が届き始め、共同募金会や民間の助成金も得ることができました。復旧工事には、ボランティアや職員自らも加わり、2011年10月、「老莱子の家」の改修を完成させ、「デイサービスアートステージ」と「宅老所キャンディハウス」で受け入れをスタートしました。流失したピアノなど活動に必要な物資の支援もあり、少しずつ設備が整いつつあります。

「沢山の方々に支えられ、ここまで来ることができました。皆さんからの温かい志を無駄にしないよう、これからも自分達ができることに全力で取り組んでいきます」と理事長の飴屋善敏さんは、新たな展望も秘めながら、震災から5年を迎えました。

そんな軌道に乗り始めていた今年の4月6日、創る村敷地内から火災が発生しました。鉄筋コンクリート4階建ての事務所兼住居と、フリースクールの子ども達の受け入れや演劇の稽古に利用していた木造3階建ての建物2棟が全焼。幸いにも「老莱子の家」や近隣の家屋には燃え移らず、デイサービスの利用者や職員も無事でした。

「火災から2日後に再開することができた「老莱子の家」の運営を安定化させることはもちろん、活動が途切れないよう、火災を免れた施設や公共施設を利用しながら、フリースクールや劇団活動もできるだけ早く再開できるよう全力を尽くしたい」と理事の飴屋善太さんは今後の構想を語ります。

高齢者を敬い、ミュージカルや公演などを通して、子ども達の心身を育む教育・環境づくりへの挑戦は、これからも続いていきます。

希望を捨てず、前進する創る村ですが、建物とともに、活動に欠かせない楽器や陶芸用品、工具、今までの功績を印す膨大な資料も失いました。皆さんの心からの支援を必要としています。


●創る村へのご支援●
現在必要としている支援の詳細については、直接創る村までお問合せください。
TEL:0225-88-3793
E-mail:tsukurumura@ybb.ne.jp

●ご寄付先●
振込先:郵便振替
振替口座:02210-5-47754
加入者名:NPO法人創る村

月刊杜の伝言板ゆるる2016年5月号 

http://www.yururu.com/?p=1558