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「東日本大震災後6年目を迎えて」第1回 震災6年目の被災地の暮らしと健康の状況

東北大学

2017/03/06 13:03

「東日本大震災後6年目を迎えて」
東北大学 経済学研究科・災害科学国際研究所 教授 吉田 浩

第1回 震災6年目の被災地の暮らしと健康の状況

今週末3月11日で、平成23年に発生した東日本大震災から6年が経過します。そこで、東北大学高齢経済社会研究センターでは、岩手、宮城、福島の主要な被災地3県と比較のために首都圏のモニター合わせて835名に、震災後6年目の暮らしや健康の様子をアンケートしました。今回から5回にわたって、その集計結果を見ることします。

1.震災と転居、住居の状況
はじめに、震災当時と現在とで、居住地の変化を尋ねました。今回、アンケートに回答をしてくださった835名の方のうちおよそ3分の1にあたる282名が何らかの理由で、転居されていました。その282名の方に転居の理由を尋ねると、10%程度の方が「3.11の震災が理由※」で転居されたと回答しています。

特に、首都圏では「震災理由の転居」は5%未満であったのに対し、被災地3県の平均での「震災理由の転居」は3倍の16%となっています。このうち、現在宮城県に住んでいる方で「震災理由で転居」されたと答えられた方は、27%と非常に大きくなっています。このことは、震災後仙台市などに転居されてきた方が多かったことに起因していると推察されます。

※このアンケートでは、「3.11の震災が理由」として、3.11の地震で「住宅が損傷・損壊」「火災で住宅が損傷・損壊」「津波で住宅が損傷・損壊」「住宅は無事だが放射線等の危険がある」「その他、3.11の震災に起因する理由」で転居した人を集計しています。

そして、現在の住居の状況について聞いたところ、やはり宮城県の回答者の方が、現状の居住状況がよいと答えている割合が高くなっています。


2.震災と暮らし
次に、暮らしの状況に関して聞くこととします。震災後6年を経過した今、防災の上でも、復興の上でも地元地域住民の連帯や協力は重要になっています。ここでは地域住民とのコミュニケーションに関して、地域別に結果を見ることにします。

表2を見ると、全体として、地域住民のコミュニケーション、25%程度のひとが良い(=かなり良い+まあ良い)と答えており、4人に1名にあたります。岩手県や宮城県は平均以上ですが、福島県は良いと答えた人の割合は20%未満(5人に1人以下)で、逆にわるいと答えた人に割合が一番高くなっています。このように、同じ被災地の中でも住民のコミュニケーションの程度には差があることがわかります。

3.収入や経済生活
続いて、生活の基盤となる収入や経済面での状況に関する回答を見てみましょう。表3を見ると、東京都では33%とおよそ3分の1の人が、収入や経済生活に関して「よい」と答えています。これに対して、被災地3県はいずれも10%台で、まだまだ経済状況の上での「復興」は完全ではないことがわかります。被災地3県の中では、宮城県は17%と一番高くなっていますが、良いと答えたの割合は、東京のおよそ半分6人に1人程度にとどまっています。特に、福島県では悪いと答えた人が40%以上に達しており、経済面での復旧、復興が望まれることがわかります。

4.健康状態
最後に、健康の状態についての回答の集計を地域別にみてみることとしましょう。健康は体の健康、心の健康(メンタルヘルス)、精神的・知的な機能など、様々なファクターから構成されますが、ここでは全体としての健康の状況についての回答結果を見ます。

表4を見ると、おおよそ4割から5割の回答者が良いと答えています。これに対して、15%程度のまたが、わるいと回答しています。このうち、宮城県では18.7%とわるいとする人が20%近くにのぼっており、宮城県民の健康状態へのケアが大事であることがわかります。

このうち、こころやうつ、メンタルヘルスに関する状態を取りまとめたものが表5です。表5を見ると、被災地3件で心の健康が悪いと答えた人は、いずれも20%台前半で、東京の16%台とは違いがあることがわかります。このうち、宮城県は心の健康状態がわるいと答えた人の割合が主要被災地3県の中では最も高く、心のケアの必要性が高いことがわかります。逆に福島県はよいと答えた人の割合が宮城県よりも小さいものの、わるいと答えた人の割合は宮城県より小さくなっています。このことから宮城県は心の状態が良い人とわるい人で開きがあることも注目するべき点といえます。

明日は、被災がこの健康などにどのように影響を及ぼしたのかに焦点を絞って詳しく見てゆきます。

「第2回 震災はどのように暮らしと健康に影響したか」です。
配信日程:3月7日(火) 配信予定

【プロフィール】
吉田 浩
東北大学大学院経済学研究科教授
高齢経済社会研究センター長
少子・高齢化社会の問題を経済学的観点から統計などを用いて解明。世代間不均衡、男女共同参画社会、公共政策の決定過程、玩具福祉学などを研究。
1969年、東京生まれ、1女2男の父。