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スポーツで地域を元気に NPO法人 FIRST ASCENT JAPAN

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2017/03/08 10:36

スポーツで地域を元気に
NPO法人 FIRST ASCENT JAPAN 代表理事 むらかみ みちこ


世界で一番美しいクライミングエリアがある南フランスを彷彿とさせる島。ある人はこの島の美しさを地中海に浮かぶ美の島、コルシカ島に例えました。碧い海、白い花崗岩の眩しいコントラスト、潮風薫る美しいシーサイドエリア。その場所は私たちが住んでいる宮城県にあります。

金華山は宝島

宮城県石巻市牡鹿半島の沖に浮かぶ周囲およそ26キロの霊島、金華山。「3年お参りすれば一生お金に困らせまい」と金運、開運にご利益がある金華山黄金山神社。

いにしえより金華山講で東北一帯に信仰が広がり、多くの参拝者で賑わっていました。島全体がその神域となっていたため、俗世間から隔離保護され原生的な自然が今も見られ、野生の鹿や猿の姿を島のあちこちで見かけることができます。

2004年から仙台のクライマー仲間でボルダリングエリアの開拓を行ってきた私たちは、花崗岩からなるこの島を違う視点で注目。クライミングに適した岩が豊富にある金華山を「宝物=岩」がたくさんある島、「宝島」と呼んで、毎年この「宝島」に訪れるようになりました。

そして2011年、東日本大震災。東日本大震災の震源地に一番近い島、金華山は甚大な被害を受けました。恐る恐る震災後の宝島の調査を開始。震災後ほとんど人が来なくなった島は被害状況の情報も不足していました。周辺の被害状況を見れば、金華山にある海岸沿いの岩が津波に流され、無くなっていることも考えなくてはなりませんでしたが、金華山の岩はそのまま残っていました。

「岩があればクライマーが来てくれる!」2013年、クライマー仲間とNPO法人ファーストアッセントジャパンを立ち上げ、金華山震災復興支援 宝島プロジェクトをスタートさせました。

ボルダリングって?

ボルダリングの語源はボルダー(大きな石)を登ることです。2020年東京オリンピックの追加種目となったスポーツクライミングで、「リード・スピード・ボルダリング」の3種目があります。自分の手と足だけを使って登る、単純だけど実は奥深いボルダリング。体を使ってパズルゲームを解いていくような面白さがあります。

近年、手軽にボルダリングが室内で体験できるジムが増え、爆発的に愛好者も増えています。

私たちは、クライミングの楽しさを知ってもらうためクライミング体験会や指導者の育成も行っています。


ボルダリングで震災復興

震災後、定期船の復旧も県内で一番遅れ、観光客が激減した金華山。仲間たちと宿泊していた民宿も港も東日本大震災の津波で流されてしまいました。私たちの活動も最初は崩れてしまった登山道の調査や、土砂の除去作業など復旧作業から始まりました。

その後、世界的に有名なプロフリークライマー平山ユージ氏や、ヨーロッパのプロクライマーたちもクライミングエリアの開拓に協力してくれました。その様子はドキュメンタリー番組や、海外のクライミングギアメーカーからも発信され“KINKASAN”は世界中のクライマーに知ってもらえるようになりました。

金華山のクライミングエリアの類稀なるロケーションの美しさは世界のクライマーから注目されています。多くのクライマーが金華山に来てくれるように、現在はクライミングのガイド本の制作も行っています。今後は日本や世界からのクライマーの受け入れ体制を地元団体と協議し、交流人口増加に貢献していきたいです。


アウトドアと自然環境

私たちはボルダリング以外にも登山道の整備や、中世の修験者たちがお山がけしていたコースを復活させ、登山やトレッキングガイドもしています。クライミングや登山といったアウトドアスポーツでの観光振興活動と両輪で自然環境の保全活動にも力を入れています。

金華山は震災前から松枯れの被害が著しく、白骨化し荒涼としたエリアが拡がっています。2014年には山頂付近でナラ枯れも発見しました。そしてこれに、鹿の食害も加わり金華山の森林は危機的状況にあります。

私たちが欲しいのは負の遺産ではなく、美しい自然のフィールドです。震災以降、大雨のたびに沢が氾濫して土砂が流失。その土砂を撤去し、土嚢を積む作業をしながら減災のためにも森林の再生は必要だと感じました。

アウトドアスポーツにより被災地域に交流人口を増やすことも、震災復興支援として重要なことですが、生物多様性の恩恵に感謝し、ふるさとの自然を慈しみ誇れるものにすることも同じように重要だと考えます。

このような活動が認められ、2013年度、金華山は日本山岳遺産に認定、2014年度は日本自然保護大賞に入選しました。私たちの活動開始のきっかけは東日本大震災でしたが、地域の疲弊は震災前から感じていました。その社会的問題解決に寄与できることは何か、私たちに何ができるか考え活動しています。



全米で住みたい町のトップにランキングされているポートランドは、多くの時間を野外でのレクリエーションに費やすことが特色としてあげられています。私たちも「アウトドア活動の時間を増やし、地域のQOLを向上させ、オリンピック選手を育てたい!」と、いつもワクワクするような、未来へ繋がる活動を目指して活動していきます。

NPO法人FIRST ASCENT JAPAN.
●TEL/FAX:022-397-9459
●E-mail:first.ascent.japan.218@gmail.com
●URL:http://first-ascent.org

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