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政令指定都市の中の仙台 -暮らしに関する5つの視点でランキング- 第4回 仙台市民の食生活をのぞきみる

2016/01/21 10:00

第4回 仙台市民の食生活をのぞきみる

1.地域別食料消費のデータはどこにあるのか

これまで、子供・子育て、高齢者、男女平等といった比較的社会性の高いテーマについて仙台市と他の大都市を比較して検討してきました。


今回は、もっと暮らしに身近なテーマということで、消費生活とりわけ仙台市民の食生活に焦点をあてて都市比較をしてみたいと思います。


みなさんは、テレビなどで「日本でもっともたくさんの餃子を食べるのは宇都宮市」というような話をきいたことがありませんか。


この統計はどのようにしてとっているのでしょう。いくら何でも、全国で餃子を誰がどれだけ食べたか毎年調査しているわけではありません。


これは、「家計調査」と呼ばれる政府の公式の統計調査の結果に基づいています。


家計調査は、一般の世帯の消費生活の状況を明らかにするため、毎月家計簿をつけてもらい、それを回収して作成している統計です。ですから、どこの家が、何を、どれだけ買ったかがわかるわけです。


今回は、この家計調査の結果のうち、全国の県庁所在地と政令指定都市の合計51都市の家計について集計した品目別ランキングを使って比較してみることにします。


家計調査は毎月全国で行われていますが、ここでは、平成24年(2012年)~26年(2014年)平均をとった結果を見てみることにします。


2.意外や意外!仙台市民はお米を食べない!?

では最初に、お米の消費についてみてみましょう。


仙台市を含む宮城県は、東北の、いや日本の米どころであり、仙台市民はさぞかしお米をたくさん消費しているであろうと予想して統計を見てみました。結果は表1に示されています。


これを見ると、仙台市の家計のお米の年間消費金額は51位中50位となっています。


仙台市のある宮城県は米どころなので、安くて良い米が手に入るためかもしれないと思い、年間の購入数量も調べましたが、これも全国平均が年間75.67kgであるのに対して、仙台市は62.66kgと10kg以上も消費数量が小さくなっています。


宮城や仙台のお米を他の地域の人がたくさん食べてくれるのは喜ばしいことですが、せっかくササキニシキをはじめとした良いお米のブランドのある都市なのですから、もっとお米を消費してもいいように思います。


特に同じ東北の山形市と比較しても30kg近い差があり、やや驚かされました。




2.仙台市民は外食麺類がお好き?

お米を思ったほど消費しないとするならば、仙台市民はいったい何でその胃袋を満たしているのでしょうか?


その答えになりそうな興味深いランキングを「家計調査」から発見しましました。


それは、外食消費のなかの麺類の消費金額の統計です。表2を見るとそば・うどん部門では、うどん県を掲げる香川県高松市が1番となっています。


中華そば(ラーメン)部門では、山形県が1位ですが仙台市も4位と健闘し(政令指定都市としては1位)、年間1万円以上の消費金額になっています。


その他の麺でも東北地方で1位、政令指定都市としては3位にランクインしています。仙台市は日本そば・うどん、中華そば、他のめん類(外食)の3部門ですべてコンスタントにベスト6入りしています。


同様の傾向があるのは、仙台市の他は栃木県の宇都宮市のみです。(政令指定都市に限定すれば仙台市のみです。)ここから、仙台市民の知られざるジャンルに偏らない外食麺好みが浮き彫りになりました。




3.ミカンとイチゴが大好きだけど、ぶどうとスイカは苦手!?

次に、果物の消費についてみてみましょう。


実はここで、思いもよらない結果を目にします。


表2は全国都市の果物の消費のランキングを示したものです。その第1にみかんがあげられています。みかんといえば静岡県、和歌山県、長崎県などが思い浮かびますが、ここでは、和歌山市、静岡市に次いで仙台市が第3位にランクインしています。


みかんの産地から離れた仙台でかくも多くのみかんが消費されているのは意外でした。


また、宮城の名産いちごの消費も仙台市はベスト5にランクインしています。


これに対して、ぶどうとすいかの消費に関しては、仙台市民はあまり多くを消費しない結果が出ています。ぶどうについては51都市中45位、すいかについては同39位でした。




4.仙台市民はまんじゅうきらい?でもお酒は好き。

果物につづいて甘いものとして、菓子類に対する消費を見てみましょう。


表4では、仙台市民の菓子類の消費は全国で第5位にランクインしています。


さぞかし、甘いものが好きなのかと思ったのですが、ここで意外なことに他の菓子はそのようなことはないのですが、まんじゅうの消費は51都市中42位とかなり低くなっています。一位の山口市の1/3程度しかまんじゅうを消費しません。


いっぽうお酒の消費に関しては、良い米と良い東北の水でいいお酒ができるためか、全国で4位にランクインしています。


上位の新潟、秋田などは清酒の名産地として知られますし、第5位の高知は酒豪が多い!?ことで有名ですね。




5.仙台市消費ベストワンの食材はやっぱりアレ!

さて、最後に仙台市が消費量全国トップの食料品を紹介しましょう。


あなたは何だと思いますか?ヒントは宮城の名産食材のアレです・・・。


その答えは表5に示されています。仙台市は魚介類の消費金額が全国1位で、全国平均よりも2万円近くも多く消費されています。


特に、その中でもさんまの消費金額も全国一位であり、そして名産品笹かまぼこに代表されるかまぼこの消費金額は、何と2位の長崎市の2倍以上、全国平均の4倍以上と大きく引き離しています。


この調査は、仙台市の家計が購入した統計なので、お土産品などの売り上げは入っていません。そう考えると、仙台市民はかまぼこが大好きといってもいいでしょう。




6.総括

今回は、全国の県庁所在地と政令都市合計51都市での家計に食材に対する支出統計を見ることで、仙台市民の食生活をのぞき見てみました。


今回取り上げた統計の結果から、仙台市民の食生活を無理やり総括すると以下のようになります。「お米はあまり食べないがその代わり、和、中華、その他の麺類が大好き。デザートにはみかんといちごを食べるが、おまんじゅうは嫌い。さんまとかまぼこを肴にお酒を飲むのが大好き。」ということになりますでしょうか。あなたの好きな食材はいくつランクインされていましたか?



次回は「第5回 仙台市の行財政力を評価する」です。

配信日程:1月22日(金) 配信予定



【プロフィール】

吉田 浩

東北大学大学院経済学研究科教授

高齢経済社会研究センター長

少子・高齢化社会の問題を経済学的観点から統計などを用いて解明。世代間不均衡、男女共同参画社会、公共政策の決定過程、玩具福祉学などを研究。

1969年、東京生まれ、1女2男の父。