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【頑張らなくてもよい!? 賢い健康習慣】第3回 世界が注目する「緑茶」パワー
2016/02/03 10:00
前回は地中海料理と日本料理のお話をしました。
日本料理の中でも近年大いに注目されているのは”緑茶“です。
緑茶は病気予防や健康向上と大きく関連することが多くの細胞実験や動物実験で明らかとなっていましたが、人間を対象とした研究は極めて限られ、実際のところ緑茶摂取が人の病気予防等に資するのか明らかではありませんでした。
そこで私たちの研究グループでは、高齢者において緑茶摂取と認知機能との関連を検討しました。70歳から96歳の方1,003人のご協力のもと、検討を進めた結果、緑茶を高頻度で飲む方の間では、認知障害である方の割合が統計学的有意差をもって関連していました。
緑茶の摂取状況によって対象者を「週3杯以下」「週4~6杯または1日1杯」「1日2杯以上」の3グループに分け、週3杯以下のグループを基準として認知障害があると思われる方の割合を算出したところ、週4~6杯または1日1杯のグループでは38%少なく、さらに1日2杯以上のグループでは54%も少ないという結果でした。
次に私たちは、40~79歳の40,530人の方を対象とした研究から、緑茶摂取と死亡率との関連を検討しました。研究結果から明らかとなったのは、緑茶を1日5杯以上飲むグループは、1杯未満のグループと比較して男性で12%、女性で23%、あらゆる原因を含めた死亡のリスクが低下していました。
疾病ごとにみると心臓疾患や脳結果障害などの循環器疾患でより強い関連がみられ、男性で22%、女性で31%低下していました。循環器疾患の中でも脳梗塞は特にこの傾向が顕著で、女性では62%も下がっていました。
以上2つの研究は国内外で高く評価され、Reuter通信やAP通信などで紹介され世界中から大きな注目を集めました。緑茶の健康増進効果に対する世界の人々の期待の大きさを実感したものです。やはり青い鳥は身近にいるのかも知れません。
次回は「第4回 「後悔先に立たず」のがん検診」です。
配信日程:2月4日(木) 午前10時ごろ予定
※本日のコラムは2015年7月1日に配信したものをアンコール企画として再配信しています。
【プロフィール】
栗山 進一
東北大学災害科学国際研究所・同医学系研究科教授
災害が健康に与える影響の解明と対策を大きな研究テーマとし、生活習慣病や神経疾患に対して環境・遺伝・社会的要因のすべてを考慮して対応する全人的医療の実現を目指している。
趣味 スキューバダイビング