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「戦国大名の正体」第2回 外国人の戦国観察

2016/03/15 10:13

第2回 外国人の戦国観察
大航海時代の大波が日本に到達した。戦国大名の時代に鉄炮やキリスト教といった新世界の文明が押し寄せた。イエズス会などのパードレ(伴天連)が発信した書簡や貿易商の記録から、戦国日本の情報を探ってみよう。

ヨーロッパ人の観察した「戦国」とは、戦争をしている国、ないしは戦争の起こっている国のことだった。

戦国大名は地域の国王で、将軍は最高の王、王の中の王と見なされた。

イタリア人ヴァリニャーノの『日本巡察記』には、大名は「屋形」と呼ばれた領主・国王とある。ポルトガル人ロドリゲスの『日本教会史』では、秀吉の時代に屋形の称号が消滅し、豊臣家の親族大名が登場したと見える。戦国大名滅亡の状況を正確に理解していた。

ヴァリニャーノの観察眼はさらに鋭い。戦国大名は専制君主ではなく、家臣の間の同盟には気を遣ったという。大名家中の一揆的な構造(寄合談合による合議体制)を見抜いていた。ほかにも武士は富よりも名誉を重んじる、といった宣教師の手紙が面白い。
 
天皇にも言及している。天下を治める真の国王であり、神のごとき存在として、日本の人々から崇められている、と。権威の印象としては、教皇に近いのかも知れない。

次回は「第3回 天下と国家」です。
配信日程:3月16日(水) 予定

【プロフィール】
鍛代敏雄(きたい・としお)
東北福祉大学教育学部 教授
1959年12月12日、神奈川県平塚市生まれ。専門は日本中世史、とくに宗教と社会・経済との構造を研究する。現在、東北福祉大学教育学部教授、石清水八幡宮研究所主任研究員を兼務する。