ジュニアリーダーの活躍 ~9.11「杜の子まつりin石巻」から~
その他
2016/10/19 10:58
ジュニアリーダーの活躍 ~9.11「杜の子まつりin石巻」から~
[寄稿] 斎藤 純子(NPO法人せんだい杜の子ども劇場)
東日本大震災発災から毎年行ってきた「杜の子まつり」、このまつりにはジュニアリーダーの存在が欠かせません。先日開催した「杜の子まつりin石巻」でも石巻市・東松島市・仙台市内のジュニアリーダー20名が大活躍しました。
ジュニアリーダーをご存じですか
まず、「ジュニアリーダー」は、子ども会を活性化することを中心に地域活動を行う青少年たちで全国的に存在します。
宮城県内では、各教育委員会の支援を受け中学生と高校生を中心にサークルをつくり、公民館や市民センターを拠点として活動しています。一人ひとりがユニークなキャンプネームをもっているのも面白いです。
東日本大震災の被災により活動を休止しているジュニアリーダーやサークルもありますが、活動している中高生たちの熱い思いや行動は、子どもたちにとって欠かせない存在であることは間違いありません!
ジュニアの思い&そしてつなぐ
「杜の子まつり」にジュニアリーダーが関わったきっかけをお話します。大震災後の宮城県内ジュニアリーダー研修会の折、石巻市ジュニアリーダーサークル「げろっぱ」による避難所での「ひろば活動」報告とジュニアリーダー自身の被災体験を聴いた仙台市内のジュニアリーダーたちが、「自分たちも手伝いたい、行動したい」と思いを馳せたことに始まります。
彼らの思いを当時の仙台市中央市民センター長より伺ったことがきっかけとなり、彼らの参画を基本とした異年齢の子どもたちが交流できる被災者支援を行うこととしました。ジュニアリーダーの思いと彼らを支える仙台&石巻の教育行政側、そして県内外のNPOが繫がって始めたのが「杜の子まつり」で、現在は石巻&仙台の2ヶ所で継続しています。
「杜の子まつり」での活躍
当日は朝から会場準備とスキルアップ研修があります。まず、大人や学生ボランティアと一緒に広い会場全体にシートを敷き詰め、体験ブース毎の机や椅子をセッティング、物品の搬入、おもちゃの仕分けまでを手がけます。その後、ジュニアリーダー全員がスキルアップのための研修を受けながらコミュニケーションを深めていきます。短時間の中でも実に柔軟に動き回るのですよ!
まつりは、おもちゃのリユースが基本の「かえっこばざーる」と芸術鑑賞の2本立てですが、今回ジュニアリーダーは「ジュニアリーダーと遊ぼう」と仙台ジュニア名物「もぐらたたき」のブースを担当しました。
▲仙台ジュニアリーダー名物!もぐらたたきに挑戦
体育館の一角をフルに使って遊ぶコーナーの内容は、午前中に石巻&東松島&仙台のメンバー全員で考えます。(仙台からのジュニアリーダーたちは移動中のバスでも考えを巡らしています)昼食を一緒に取りながら、話し合いもトントンと進んでいくあたり、大人は見習うこと大です。
さあ本番、子どもたちを自分たちのブースに呼び込むのが実に上手い!「もぐらたたき」は制限時間を替え歌で、もぐらの上下動作もジュニアリーダーが担います。大声で歌う替え歌とその様子を見て、順番を待つ子どもの列は途絶えませんでした。
日頃から子ども会で子どもたちと接している経験は場所が変わっても活きて、彼らの声と動きは子どもたちの元気を誘う力を持っています。
他地域の同世代が関わること
一緒に集うことで、新しい出会いが始まります。スキルアップのための研修も、杜の子まつりに参加する達人たちを講師に毎年ずっと続けてきました。一緒にいることで気づかなかったことや分からなかったこと、同世代同士からヒントを得ることがあります。世界が広がると別の考え方に出会うことだってあります。
相手や異なる環境に思いを馳せることに繫がりますよね。そして何より、みんなで築き上げ達成感を味わった仲間の存在は、各々の自己肯定感を高め、次の活動への意気込みに繫がっていくと思います。
なぜ、大切なのか
杜の子まつりに参加する子どもたちにとって、ジュニアリーダーと一緒に過ごす時間は半日もありませんが、緊張するのも束の間、すぐに持ち前のノリでお互いの距離間を縮めていきます。
ジュニアリーダーのスゴイところは、思いっきり子どもの中に入っていけるところにあるのだと思います。子どもたちも自分たちのことを理解してくれると直感できるからなのでしょう。お互いによそ行きではなく、「ちょっと先輩」のお兄さん&お姉さんといった感じで子どもたちは遊んでいます。大人にはない親近感があり、子どもたちにとって肩の力を抜くことが出来る存在ですね。
また昨今の子どもを取り巻く状況は、核家族傾向やコミュニケーション力の低下等が依然あり、異年齢の子どもたちが集う場も乏しい傾向が続いています。小学生にとって、中高生と身近に接するチャンスも少ないです。かつて遊びの伝承は、先輩の行動を見て後輩が受け継いでいったように記憶しています。
「子どもは子どもの中で育つ」ということを異年齢の子どもたちが集う場で実践していくことが大切です。そこにはジュニアリーダー等ちょっと先輩たちの若い力がとても有効であると思うのです。
大人は子どもを尊重すると言いながら、どうしても子どもにしてあげる傾向になりがちです。杜の子まつりで子どもたちと一緒になって遊ぶ姿から、ジュニアリーダーと大人は一緒に子ども支援をしていくパートナーであることを気づかせて貰いました。
▲ジュニアリーダーと何して遊ぶ?
活躍の場がもっと広がればいいなぁ!
ジュニアリーダー活動の中心は、子ども会や児童館からの要請が大部分を占めています。もっと社会と繫がって活動できないものだろうか・・・と、彼らの存在がもったいないのです。
ジュニアリーダーの活動範囲が広がることで、本人たちの社会参画機会が増え将来の自分づくりの糧となる、地域社会の担い手として貢献できる、異年齢の子どもたち同士の接点が増える、遊びの継承が出来るのだと思うのです。NPOと社会がコラボして、ジュニアリーダーへのオファーをしていくのもいいですね。
来年三月には「杜の子まつりin仙台」があります。ジュニアリーダーの皆さん、またよろしくね!
NPO法人せんだい杜の子ども劇場
〒981-3133 仙台市泉区泉中央4-17-1
●TEL/FAX:022-375-3548
●E-mail:morinokodomo@s8.dion.ne.jp
●URL:http://www.ab.auone-net.jp/~senmori8/
月刊杜の伝言板ゆるる2016年10月号
http://www.yururu.com/?p=1839
[寄稿] 斎藤 純子(NPO法人せんだい杜の子ども劇場)
東日本大震災発災から毎年行ってきた「杜の子まつり」、このまつりにはジュニアリーダーの存在が欠かせません。先日開催した「杜の子まつりin石巻」でも石巻市・東松島市・仙台市内のジュニアリーダー20名が大活躍しました。
ジュニアリーダーをご存じですか
まず、「ジュニアリーダー」は、子ども会を活性化することを中心に地域活動を行う青少年たちで全国的に存在します。
宮城県内では、各教育委員会の支援を受け中学生と高校生を中心にサークルをつくり、公民館や市民センターを拠点として活動しています。一人ひとりがユニークなキャンプネームをもっているのも面白いです。
東日本大震災の被災により活動を休止しているジュニアリーダーやサークルもありますが、活動している中高生たちの熱い思いや行動は、子どもたちにとって欠かせない存在であることは間違いありません!
ジュニアの思い&そしてつなぐ
「杜の子まつり」にジュニアリーダーが関わったきっかけをお話します。大震災後の宮城県内ジュニアリーダー研修会の折、石巻市ジュニアリーダーサークル「げろっぱ」による避難所での「ひろば活動」報告とジュニアリーダー自身の被災体験を聴いた仙台市内のジュニアリーダーたちが、「自分たちも手伝いたい、行動したい」と思いを馳せたことに始まります。
彼らの思いを当時の仙台市中央市民センター長より伺ったことがきっかけとなり、彼らの参画を基本とした異年齢の子どもたちが交流できる被災者支援を行うこととしました。ジュニアリーダーの思いと彼らを支える仙台&石巻の教育行政側、そして県内外のNPOが繫がって始めたのが「杜の子まつり」で、現在は石巻&仙台の2ヶ所で継続しています。
「杜の子まつり」での活躍
当日は朝から会場準備とスキルアップ研修があります。まず、大人や学生ボランティアと一緒に広い会場全体にシートを敷き詰め、体験ブース毎の机や椅子をセッティング、物品の搬入、おもちゃの仕分けまでを手がけます。その後、ジュニアリーダー全員がスキルアップのための研修を受けながらコミュニケーションを深めていきます。短時間の中でも実に柔軟に動き回るのですよ!
まつりは、おもちゃのリユースが基本の「かえっこばざーる」と芸術鑑賞の2本立てですが、今回ジュニアリーダーは「ジュニアリーダーと遊ぼう」と仙台ジュニア名物「もぐらたたき」のブースを担当しました。
▲仙台ジュニアリーダー名物!もぐらたたきに挑戦
体育館の一角をフルに使って遊ぶコーナーの内容は、午前中に石巻&東松島&仙台のメンバー全員で考えます。(仙台からのジュニアリーダーたちは移動中のバスでも考えを巡らしています)昼食を一緒に取りながら、話し合いもトントンと進んでいくあたり、大人は見習うこと大です。
さあ本番、子どもたちを自分たちのブースに呼び込むのが実に上手い!「もぐらたたき」は制限時間を替え歌で、もぐらの上下動作もジュニアリーダーが担います。大声で歌う替え歌とその様子を見て、順番を待つ子どもの列は途絶えませんでした。
日頃から子ども会で子どもたちと接している経験は場所が変わっても活きて、彼らの声と動きは子どもたちの元気を誘う力を持っています。
他地域の同世代が関わること
一緒に集うことで、新しい出会いが始まります。スキルアップのための研修も、杜の子まつりに参加する達人たちを講師に毎年ずっと続けてきました。一緒にいることで気づかなかったことや分からなかったこと、同世代同士からヒントを得ることがあります。世界が広がると別の考え方に出会うことだってあります。
相手や異なる環境に思いを馳せることに繫がりますよね。そして何より、みんなで築き上げ達成感を味わった仲間の存在は、各々の自己肯定感を高め、次の活動への意気込みに繫がっていくと思います。
なぜ、大切なのか
杜の子まつりに参加する子どもたちにとって、ジュニアリーダーと一緒に過ごす時間は半日もありませんが、緊張するのも束の間、すぐに持ち前のノリでお互いの距離間を縮めていきます。
ジュニアリーダーのスゴイところは、思いっきり子どもの中に入っていけるところにあるのだと思います。子どもたちも自分たちのことを理解してくれると直感できるからなのでしょう。お互いによそ行きではなく、「ちょっと先輩」のお兄さん&お姉さんといった感じで子どもたちは遊んでいます。大人にはない親近感があり、子どもたちにとって肩の力を抜くことが出来る存在ですね。
また昨今の子どもを取り巻く状況は、核家族傾向やコミュニケーション力の低下等が依然あり、異年齢の子どもたちが集う場も乏しい傾向が続いています。小学生にとって、中高生と身近に接するチャンスも少ないです。かつて遊びの伝承は、先輩の行動を見て後輩が受け継いでいったように記憶しています。
「子どもは子どもの中で育つ」ということを異年齢の子どもたちが集う場で実践していくことが大切です。そこにはジュニアリーダー等ちょっと先輩たちの若い力がとても有効であると思うのです。
大人は子どもを尊重すると言いながら、どうしても子どもにしてあげる傾向になりがちです。杜の子まつりで子どもたちと一緒になって遊ぶ姿から、ジュニアリーダーと大人は一緒に子ども支援をしていくパートナーであることを気づかせて貰いました。
▲ジュニアリーダーと何して遊ぶ?
活躍の場がもっと広がればいいなぁ!
ジュニアリーダー活動の中心は、子ども会や児童館からの要請が大部分を占めています。もっと社会と繫がって活動できないものだろうか・・・と、彼らの存在がもったいないのです。
ジュニアリーダーの活動範囲が広がることで、本人たちの社会参画機会が増え将来の自分づくりの糧となる、地域社会の担い手として貢献できる、異年齢の子どもたち同士の接点が増える、遊びの継承が出来るのだと思うのです。NPOと社会がコラボして、ジュニアリーダーへのオファーをしていくのもいいですね。
来年三月には「杜の子まつりin仙台」があります。ジュニアリーダーの皆さん、またよろしくね!
NPO法人せんだい杜の子ども劇場
〒981-3133 仙台市泉区泉中央4-17-1
●TEL/FAX:022-375-3548
●E-mail:morinokodomo@s8.dion.ne.jp
●URL:http://www.ab.auone-net.jp/~senmori8/
月刊杜の伝言板ゆるる2016年10月号
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