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多様性を認め合う社会を目指して 認定NPO法人Switch 理事長 高橋 由佳

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2016/11/17 10:23

多様性を認め合う社会を目指して 認定NPO法人Switch 理事長 高橋 由佳

困難を抱える思春期・青年期の「はたらく」「まなぶ」をサポートするSwitchでは、こころの病を持つ方々の一般就労を目指す障害福祉サービス事業所スイッチ・センダイ、就労準備のための生活の安定を図るスイッチ・イシノマキ、地域のチカラを最大限に活かした就労支援としてユースサポートカレッジ仙台NOTE・石巻NOTEにおいて「有給職業体験プログラム・バイターン」と「中間就労支援」を行っております。


一人ひとりに寄り添って

バイターンとは、バイトとインターンの造語で、神奈川県の田奈高校で現在、高校生カフェ「ぴっかりカフェ」を運営しているNPO法人パノラマの理事長・石井正宏さんが名付け親です。それぞれのカテゴリーで、一人ひとりの強み(ストレングス)を活かした伴走型支援で、地域と連携し地域の人びとのチカラを最大限に発揮できるようまた、それらが彼らにとってこころの支えになるよう私たちは、できるだけ黒子に徹した活動を行っております。

なぜなら、支援者であるわたしたちは、彼らの人生の通過地点でしかなく、そこで生き抜いていく地域こそが生活の支えになり、また地域の人びととの共生社会を築くことが目標でもあります。有給職業体験プログラム・バイターンは、これまでも、連携企業およそ40社にご協力をいただきながら、年間50回にも渡っており、まさに地域のチカラを活かした取組みとして機能しております。

▲バイターン実習の様子


▲バイターン実習の様子

中間就労支援とは

わたしたちの活動においては、障がい者の雇用において、職場も本人も円滑に働き続けることができるよう企業と本人のコーディネーター的な役割を担う存在として、「ジョブコーチ」による企業訪問を行っております。障がいを持つ方々の就労支援においては、現在様々な課題がありますが、その中でも特に職場定着率の低さが課題になっております。

厚生労働省の施策によると、平成30年より「定着支援事業所」を新設し、障がい者が働き続けることができるようフォローアップに重点を置いた支援体制を構築する予定でおります。

しかし「離職率」というキーワードでは、どの世代でも問われるテーマになっているのではないでしょうか?例えば、宮城県では、高校卒業後の就職後の3年離職率は、全国的にもワーストに入るほどです。さらに、大学新卒者の3年離職率もよく話題になります。もちろん、転職が悪いわけでもなく、キャリアアップのための転職などは、どこにでも存在するものです。

わたしたちは、この「なぜ?」に着目しながら、ジョブマッチングをどのようにしていけば、一人ひとりが自分の強みを見いだしながら、働き続けることができるようになるのだろうか?と模索しながらたどり着いたのが、有給職業体験プログラム・バイターンでもあり、中間就労支援でもあります。

ご存知でしょうか?障がい者雇用の求人のほとんどは、非正規であり正社員の求人はほとんどありません。毎年、更新の時期になると、不安になり相談に来られることも多々あります。働き続けることができる保証がない労働条件のなかで、彼らは一生懸命働き続けています。しかし、先の見えないなかで不安を抱えながらも「はたらく」ことに真摯に向き合っていく姿は、わたしたちも自らの働き方を再考することを教えてくれているように感じております。

それらを踏まえ、昨年より始めた農業による中間就労支援の場である「イシノマキ・ファーム」ですが、被災者支援の一環でもあり、仮設住宅や、復興公営住宅およびそれに準ずる環境に居住中で、将来就労を考えているが、一歩を踏み出せないでいる方々が少しでもその一歩を踏み出すためのきっかけとなればとの思いも込めながら開始しました。

人は誰しも、社会の中で役割を求めています。「イシノマキ・ファーム」は一人ひとりが大事な役割を持って活動し、人と協力して生きていくために必要なコミュニケーションや体力をつけて前に進んでいくための学びが体験できるところでもあります。そして、「はたらくこと」や「まなぶこと」の意欲を取り戻し、支援へつなげることを目的としています。

現在参加された方々の中には、ふたたび学校に通えるようになった方、震災以前の体力を取り戻した方、新たにお仕事に就く気力を取り戻した方、そしてここでの農業の経験を生かして農業法人に就職された方など、こころとからだの元気を取り戻した方が出てきています。

働く場の大切さ

社会的弱者といわれる人びとが、就職活動に困難を感じており、そこには社会的排除の存在があることは否めないと思えてなりません。刑務所出所者、ホームレス、ひとり親家庭の母親、ひきこもりの若者、メンタルヘルス不調の方、長期失業者など多くの人びとが、仕事を求めています。
彼らは、社会保障の制度の狭間で苦しんでいる人びとでもあり、伴走者であるサポーターの存在があればこその支援が必要だと思っております。そこで、国の財源に頼らない就労支援の枠組みを構築するにはどうしたらいいのかと模索していたところに、出会ったのが「ソーシャルファーム」の概念です。

ソーシャルファームは、就労が困難なすべてのひとが対象であり、対等の関係で働くこと、給与、労働条件なども一般就労者と同一の基準であること、そして、市場で利潤を上げ、再投資するビジネスモデルとしていることです。もともと、ソーシャルファームは、1970年代に北イタリアのトリエステ精神病院で、脱精神病院を目指した患者さんたちが、地域に働く場を求めていましたが、治療を続けながら働くということに対する地域のスティグマから、働くことができずにおり、そこで自分たちで仕事を作ろうと立ち上がったのが始まりです。

わたしたちは、これらの概念に基づき、新たな「働く場」の提供をするために、これまで活動してきた農業の中間就労支援「イシノマキ・ファーム」を一般社団法人化し、ソーシャルファームとしてのチャレンジに挑んでおります。

認定NPO法人Switch
〒983-0852 仙台市宮城野区榴岡1丁目6-3
東口鳳月ビル6階
●TEL:022-762-5851
●E-mail:info@npo-switch.org
●URL:http://www.switch-sendai.org/


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