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特殊詐欺を統計的に考える 前編

東北大学

2016/06/02 10:50

特殊詐欺を統計的に考える 前編

振り込め詐欺のような特殊詐欺は増加の一途をたどっています。

警察庁のホームページを見ると、下の図が見つかります(平成27年度は暫定値)。認知件数、被害額ともに平成20年から21年にかけて激減しましたが、そのあとは着実に上昇しています。平成27年では認知件数が約1万4千件、被害額が約477億円にのぼっています


宮城県警のホームページにも宮城県の特殊詐欺の被害状況が掲載されています。下の図はそれに基づいて作成したものです。全国と似たパターンを示していることが分かります。




このように増加する特殊詐欺の被害を減らすことはできないものでしょうか。

被害を防ぐ対策を考えるためには、上の図のような日本全体や宮城県全体の動向を見るだけでは不十分で、どのような人たちが被害にあっているのかを知る必要があります。

その上で、「○○という特性を持った人は××という種類の詐欺に遭いやすい」ということが分かれば、○○の人たちに「××という詐欺に気を付けましょう」という焦点を絞った注意喚起ができます。

この目的のために私は仙台放送と協力して宮城県警から平成27年の特殊詐欺データを提供していただくことになりました。本コラムでは、そのデータを用いて特殊詐欺防止の対策を考えます。まだ予備的な分析ですが、それでも一つの方向を示すことができるのではないかと思っています。
〈後編に続く〉

次回は「特殊詐欺を統計的に考える 後編」です。
配信日:6月3日(金)

【プロフィール】
佐藤 嘉倫
東北大学大学院文学研究科教授
合理的選択理論の視点から、信頼や社会的不平等の解明に取り組んでいる。
編著に『ソーシャル・キャピタルと格差社会』(東京大学出版会、2014年)がある。
趣味 ジャズ鑑賞、ギター、料理、スキー