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【これからどうなる?!最先端の教育事情】 第3回 プログラミングのお稽古の時代?!
2016/03/30 10:38
第3回:プログラミングのお稽古の時代?!
■世界中でプログラミングの教育に関心が高まる
前回までに,日本の国としての教育の動向として,宮城県でのICT(コンピュータやインターネットなどの情報通信技術)活用についてお伝えしてきました。
今回は,世界的に注目を集めているコンピュータプログラミングが,今,日本の小学生の間でもブームになっている状況についてお話します。
■様々な方法でプログラミングが可能に
プログラミングと聞くと難しいイメージをお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。確かに1つ1つの文字を入力して,コンピュータを指示通りに動かすのは簡単ではありません。
しかし近年では,マウス操作でブロックの形をした命令をつなげることで,アニメーションやゲームが作れるようなプログラミング言語が開発されています。
以前は,プログラミング自体が高度な知識を必要としていましたが,このブロックによる視覚的なプログラミングのおかげで,「プログラミングを学ぶ」代わりに,「プログラミングで学ぶ」ことも容易になりました。
そうしたプログラミング言語には,マサチューセッツ工科大学(MIT)で開発した,Scratch(https://scratch.mit.edu/)や,文部科学省のプログラミン(http://www.mext.go.jp/programin/),などが有名で,無料で利用することができます。サイトにアクセスすると,世界中の子供たちが作った作品も見ることができます。
ブロックを使ったプログラミングの例(Scratch)
©Scratch is developed by the Lifelong Kindergarten Group at the MIT Media Lab. See
Scratchのサイトは、こちらから
■5歳からプログラミングの授業が始まっている
日本では,2012年から中学校の技術・家庭科で,ロボット等を動かし,温度センサーを読み取るなどの計測と制御のためのプログラミングが既に全員必修となっています。また,一部の小学校では,図工などの教科の学習の中にプログラミングを取り入れた授業も行われ始めています。
一方海外では小学生からプログラミングを授業で必修として扱う動きが増えています。例えば英国では,2014年に,義務教育の中でプログラミングを5歳の児童から行うComputingという教科が実施されています。
フィンランドでは7歳から必修となる予定です。プログラミングを小学生から学ばせる理由は様々ですが,主なものは,進展する情報社会において,論理的に物事を考える力を育て,情報技術の活用に関する知識や技術を身につけるというものです。
10歳から必修となる韓国の場合は,産業界から要請を受ける形で,高度なICT人材を育成することも理由にしています。
文部科学省,諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究報告書(2015)は、こちらから
文部科学省,プログラミング教育実践ガイド(2015)は、こちらから
アニメーションのプログラムを作成する英国の小学4年生
■プログラミングを通して身につく力に注目が。
普段の生活を考えてみても,私たちは意識する・しないに関わらず多くのコンピュータを使い,共に生活をしているといえましょう。
特に,コンピュータを「操作する」だけではなく,コンピュータに「指示をする・仕事をさせる」,という感覚はこれまで以上に重要になるでしょう。
そうした状況に対する理解が広まってきたのか,近頃では小学生向けのプログラミング教室や,プログラミング塾の人気が高まっています。
国際的な活動の一環として仙台市で活動するCoder Dojoでは,小中学生が集まってアニメーションやゲームなどを自分たちで作っています。今まではゲーム機などで遊ぶだけだった子供たちが,自分たちでもプログラムを作れるということへの喜びや,付き添いの保護者からは,自分の子供が新しい才能を発揮している様子に驚きの声も聞こえるそうです。首都圏では,小学生から参加できる月謝制プログラミング教室も人気のようです。
仙台市で活動するCoder Dojoの様子
https://www.facebook.com/CoderdojoIzumi/より
こうした教室だけでなく,インターネット上には,ゲーム感覚でプログラミングを行いながら,コンピュータを動かす仕組みを理解し,論理的に物事を考えられる力をつけられるような無料の学習サイトがあります。以下に2つ示しました。先生がいなくても進められるようになっていますので,一度試してみてはいかがでしょうか?
アルゴロジック
プログラミングの基本となる論理的思考(アルゴリズム)をゲーム感覚で習得するための課題解決型ゲームです。
アルゴロジックのサイトは、こちらから
Code.org
世界各国の言葉に翻訳され,人気のアニメや映画キャラクターを用いてプログラミングを一人で学べるサイトです。
Code.orgのサイトはこちらから
次回は「第4回 先生の代わりにスマホが指南?! 」です。
配信日程:3月31日(木) 予定
【プロフィール】
安藤 明伸
宮城教育大学 技術教育講座 准教授
1973年札幌市生まれ。北海道教育大学大学院修了。京都工芸繊維大学 博士課程修了。博士(学術)。
札幌市内の市立中学校 技術科教諭を経て,現在宮城教育大学 技術教育講座(准教授)。
現場に立脚し,教育工学的な立場から,技術科教育と情報教育を専門。
特に情報・ICTを用いた授業改善や,モバイルデバイスを活用した指導法開発,教材開発に従事。
ここ最近では,スマートフォンのセンサー機能を用いて,生徒自身がのこぎり引きの動きを独学できる教材や情報モラル教材の開発で,学術団体より表彰。
中学校「技術・家庭 技術分野」の教科書の情報分野の執筆。
その他役職
日本デジタル教科書学会理事,モバイル学会理事,文部科学省中央教育審議会専門員(初等中等教育分科会)情報教育に関するワーキンググループ委員,仙台市情報モラル教育推進会議アドバイザー。
■世界中でプログラミングの教育に関心が高まる
前回までに,日本の国としての教育の動向として,宮城県でのICT(コンピュータやインターネットなどの情報通信技術)活用についてお伝えしてきました。
今回は,世界的に注目を集めているコンピュータプログラミングが,今,日本の小学生の間でもブームになっている状況についてお話します。
■様々な方法でプログラミングが可能に
プログラミングと聞くと難しいイメージをお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。確かに1つ1つの文字を入力して,コンピュータを指示通りに動かすのは簡単ではありません。
しかし近年では,マウス操作でブロックの形をした命令をつなげることで,アニメーションやゲームが作れるようなプログラミング言語が開発されています。
以前は,プログラミング自体が高度な知識を必要としていましたが,このブロックによる視覚的なプログラミングのおかげで,「プログラミングを学ぶ」代わりに,「プログラミングで学ぶ」ことも容易になりました。
そうしたプログラミング言語には,マサチューセッツ工科大学(MIT)で開発した,Scratch(https://scratch.mit.edu/)や,文部科学省のプログラミン(http://www.mext.go.jp/programin/),などが有名で,無料で利用することができます。サイトにアクセスすると,世界中の子供たちが作った作品も見ることができます。
ブロックを使ったプログラミングの例(Scratch)
©Scratch is developed by the Lifelong Kindergarten Group at the MIT Media Lab. See
Scratchのサイトは、こちらから
■5歳からプログラミングの授業が始まっている
日本では,2012年から中学校の技術・家庭科で,ロボット等を動かし,温度センサーを読み取るなどの計測と制御のためのプログラミングが既に全員必修となっています。また,一部の小学校では,図工などの教科の学習の中にプログラミングを取り入れた授業も行われ始めています。
一方海外では小学生からプログラミングを授業で必修として扱う動きが増えています。例えば英国では,2014年に,義務教育の中でプログラミングを5歳の児童から行うComputingという教科が実施されています。
フィンランドでは7歳から必修となる予定です。プログラミングを小学生から学ばせる理由は様々ですが,主なものは,進展する情報社会において,論理的に物事を考える力を育て,情報技術の活用に関する知識や技術を身につけるというものです。
10歳から必修となる韓国の場合は,産業界から要請を受ける形で,高度なICT人材を育成することも理由にしています。
文部科学省,諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究報告書(2015)は、こちらから
文部科学省,プログラミング教育実践ガイド(2015)は、こちらから
アニメーションのプログラムを作成する英国の小学4年生
■プログラミングを通して身につく力に注目が。
普段の生活を考えてみても,私たちは意識する・しないに関わらず多くのコンピュータを使い,共に生活をしているといえましょう。
特に,コンピュータを「操作する」だけではなく,コンピュータに「指示をする・仕事をさせる」,という感覚はこれまで以上に重要になるでしょう。
そうした状況に対する理解が広まってきたのか,近頃では小学生向けのプログラミング教室や,プログラミング塾の人気が高まっています。
国際的な活動の一環として仙台市で活動するCoder Dojoでは,小中学生が集まってアニメーションやゲームなどを自分たちで作っています。今まではゲーム機などで遊ぶだけだった子供たちが,自分たちでもプログラムを作れるということへの喜びや,付き添いの保護者からは,自分の子供が新しい才能を発揮している様子に驚きの声も聞こえるそうです。首都圏では,小学生から参加できる月謝制プログラミング教室も人気のようです。
仙台市で活動するCoder Dojoの様子
https://www.facebook.com/CoderdojoIzumi/より
こうした教室だけでなく,インターネット上には,ゲーム感覚でプログラミングを行いながら,コンピュータを動かす仕組みを理解し,論理的に物事を考えられる力をつけられるような無料の学習サイトがあります。以下に2つ示しました。先生がいなくても進められるようになっていますので,一度試してみてはいかがでしょうか?
アルゴロジック
プログラミングの基本となる論理的思考(アルゴリズム)をゲーム感覚で習得するための課題解決型ゲームです。
アルゴロジックのサイトは、こちらから
Code.org
世界各国の言葉に翻訳され,人気のアニメや映画キャラクターを用いてプログラミングを一人で学べるサイトです。
Code.orgのサイトはこちらから
次回は「第4回 先生の代わりにスマホが指南?! 」です。
配信日程:3月31日(木) 予定
【プロフィール】
安藤 明伸
宮城教育大学 技術教育講座 准教授
1973年札幌市生まれ。北海道教育大学大学院修了。京都工芸繊維大学 博士課程修了。博士(学術)。
札幌市内の市立中学校 技術科教諭を経て,現在宮城教育大学 技術教育講座(准教授)。
現場に立脚し,教育工学的な立場から,技術科教育と情報教育を専門。
特に情報・ICTを用いた授業改善や,モバイルデバイスを活用した指導法開発,教材開発に従事。
ここ最近では,スマートフォンのセンサー機能を用いて,生徒自身がのこぎり引きの動きを独学できる教材や情報モラル教材の開発で,学術団体より表彰。
中学校「技術・家庭 技術分野」の教科書の情報分野の執筆。
その他役職
日本デジタル教科書学会理事,モバイル学会理事,文部科学省中央教育審議会専門員(初等中等教育分科会)情報教育に関するワーキンググループ委員,仙台市情報モラル教育推進会議アドバイザー。