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「発酵の ふしぎ発見!」第3回 大豆からチーズ!?~豆乳凝固酵母~

宮城大学

2016/06/08 11:56

第3回 大豆からチーズ!? ~豆乳凝固酵母~

大豆は、我が国ではおなじみの食材で、しょうゆや味噌、納豆の発酵食品などに使用されております。大豆は、2000年も前に大陸から渡ってきたといわれております。

また、大豆は栄養価が高く、脂質とタンパク質を多く含んでおり、米を主食としてきた日本人にとって、貴重なタンパク源やエネルギー源でもありました。

近年では、大豆の中の機能性が注目され、大豆の中のタンパク質が、生活習慣病、特に脂質代謝改善(中性脂肪が気になる方の・・・・)に効果があると報告されています。また、大豆には、イソフラボンが含まれております。

イソフラボンは、体内に入ると女性ホルモン、エストロゲン様の活性を示すことから、年配の女性の健康への効果も期待され、健康的な食材です。さらに、アメリカの食品医薬局が、一日25gの大豆タンパク質を摂取すると、心疾患リスク低減を発表しました。


大豆

しかし、大豆食品は、味噌や醤油といった塩分が高く、塩っ辛い食材で大量に食すことはできません。そこで、納豆や豆腐、豆乳といった食品で摂取することが望ましいのですが…。納豆の香り、青臭い香り、触感などなど・・・積極的に摂取することができません。

比べて牛乳は、そのまま飲んでも、発酵させたヨーグルトやチーズのように、嗜好性が高い傾向があります。しかし、牛乳やチーズは、コレステロールが高く、心疾患の低減にはなりません。

そこで、牛乳から作ったチーズのように、嗜好性が高い豆乳チーズができないものか・・・。

豆乳を固める酵母の発見!!

天然界の土やお花、動物や動物のフンなど様々なものに酵母が存在しています。これらの酵母は、「天然酵母」と呼んでいます。

我が研究室の優秀な学生は、天然酵母を採取するために、学内の農場や近隣の山の中など、川口隊長か、藤岡隊長か?というぐらいの、道なき道を入り込み、採取し、酵母の生息する花や動物のフンや土壌などを採取してきました。

この中から天然酵母を分離し、さらに、1種類ずつ酵母を豆乳に生育させ、凝固性を試しました。その結果、豆乳を固める酵母を発見したのです。

この酵母で豆乳を固めると、モッツアレラチーズのように弾力に富んだものができます。豆腐の場合、弾力はなく、強い力でぼろぼろと崩れてきます。しかし、下のように脱水して伸ばすと、麺生地のように伸びます。

そこで、チーズのようにできないかということで、宮城の大学院生永野理佳君は、日々の研究の結果、この豆乳凝固酵母の発酵と、チーズ用乳酸菌の発酵を組み合わせることで、牛乳に負けない食感と、風味を出すことに成功しました。

現在は実用化をめざし、さらなる研究を行っております。豆乳から造ったチーズが世界中で広く食べられる日も近い!

「煎り豆に花が咲く」どころか 「豆乳にも花が咲く」!!




図 乳酸菌、酵母、GDLによる豆乳凝固

次回は「第4回 水産物を「醸す」 ~オキアミ醤油~」です。
配信日程:6月9日(木) 予定

【プロフィール】
金内誠
1971年米沢市生まれ
1994年3月 東京農業大学農学部醸造学科 卒業
1999年3月 東京農業大学大学院農学研究科
博士後期課程生物環境調節学専攻 修了
博士(生物環境調節学)
1999年4月 東京農業大学酒類生産学研究室(小泉武夫教授) 博士研究員
1999年11月 カリフォルニア大学デーヴィス校 博士研究員
2003年8月不二製油㈱入社 フードサイエンス研究所配属
2005年4月宮城大学食産業学部 フードビジネス学科 助手
2009年4月同 准教授
現在に至る