柳沢 剛
2016/03/10
「ざわざわ感」
あの日のことを思い出す時の気持ちを言葉で表すと…
私の場合…こうなります…。
5年が経とうとしている今でも、この季節の空気が「ざわざわ感」を呼び覚まします。
震災の4か月前…2010年11月。
仙台放送の新しいヘリコプターの稼働式典の司会を担当し、その時の思いを、このアナログに書きました…。
http://ox-tv.jp/anabrog/p/?odno=91
30年近いアナウンサー生活の中で、牡鹿半島の自衛隊機墜落事故、新潟の中越地震と中越沖地震・青森の新幹線トンネル落盤事故等々、その時々仙台放送のヘリコプターから全国へ中継してきました…。
しかし…
あの日…
私が津波の惨状をリポートしたのは…フジテレビのヘリコプターからでした…。
仙台放送のヘリコプターは…津波に流されていたのです…(写真)
あの日…
空から見た光景は…まだ目に焼き付いています…。
救助を求め、ヘリに向かって手を振る人達…
「ごめん…このヘリでは釣り上げられないんだ…」
カメラマンのつぶやきが、インカムを通して聞こえてきました。
ふと横を見ると…カメラマンの目が潤んでいるのが分かりました…。
「広い絵(俯瞰)を撮ってもらえます?」
「ここが何処なのか、リポートします。そのあともう一度、よってアップの絵をください…。」
「何かランドマークがあれば、それも撮ってください!場所をハッキリと判らせてから…ここで、救助を求めている人がいることを伝えましょう!」
福島の相馬から北上し、宮城県の沿岸部を縦断、岩手の大船渡まで…現実を伝え続けました…。
モニターを見ていると…映画を見ているような錯覚に襲われますが…
窓の外に目をやれば…この風景は明らかな現実…。
しかも目を覆いたくなる惨状…。
今でも、海岸に行くと…あの日を思い出し…
ヘリコプターのローターの音と振動が蘇り…
胸に「ざわざわ感」が広がります…。
明日で…あの日から丸5年…。
それぞれの人に、様々な思いがあると思います。
仙台放送では「みんなのニュース」と「ともに」を中心に、朝の「めざましテレビ」から、夜の「あしたのニュース」まで…各番組で、被災地の今をお伝えいたします。
明日は「ともに」のキャスター拓雄アナです。