寺田 早輪子
2021/10/11
森の「緑」を、これまでの人生の中でこれほどたっぷり浴びた経験はなかった…。
9月の終わりに、そんな貴重な経験をしました。
宮城県の北西部にある標高1,626mの栗駒山に、取材で登ってきました!
ランプの宿として知られる秘湯、湯浜温泉・三浦旅館を出発する「湯浜コース」を、旅館の5代目に案内してもらいました。
目的は山頂の紅葉…ではなく、湯浜コースを2時間ほど進み、途中の分岐点から1時間ほどのところにある「千年クロベ」という日本有数の巨木です。クロベとはクロヒノキのこと。樹齢1200年とも言われる巨木です。
旅館から距離にして4kmほどなのですが、山を登り、谷を下り、沢を10カ所程超えて、森を抜け、往復5時間の道のりでした!9月の終わりはまだ紅葉が始まっておらず、たっぷりと森林浴を楽しめました。
実は、登山の経験は数えるほどしかない私。内心、「大丈夫かな…」と思っていたのですが、5代目にガイドをしていただいたおかげ様で、楽しく登れました!
実際に、「千年クロベ」を目の前にしたとき、その圧倒的な大きさと存在感に、登山の疲れも吹っ飛びました!奈良時代ごろに芽を出した「千年クロベ」。数々の困難や災害を乗り越えて、令和の時代にどっしりと根を張って佇んでいるその姿を見ていると、自分の悩みは本当にちっぽけで、もっと強くならないといけないと、心を奮い立たたされる思いがしました。
三浦旅館は2008年の岩手・宮城内陸地震で、一時、源泉が止まるなどの被害を受けた旅館です。何度も取材させていただきました。
今は60代後半になられた4代目のご主人は、何度もくじけそうになりながら、それでも「明治から続く宿を、自分の代で終わらせるわけにいかない」と、新たな源泉を探り、再起を果たしました。
秋田県境の近くにあり、県外からの登山客も多く訪れていましたが、今、新型コロナの影響で、週に3日もお客さんが来ない日があるというほど苦境に立たされています。
4代目は「山頂は紅葉も始まっているし、いくらかはお客さんに来てほしい」、5代目は「困難を乗り越えきた千年クロベのように、負けずに頑張りたい」と話していました。
千年クロベは1000年以上も生き続けている木です。保護のため、今は根元付近には近づけません。私も2m以上離れた場所から眺めました。
湯浜コースの紅葉の見ごろは10月半ばだそうです。千年クロベへ通じるルートは「まぶしいくらいの黄色一色」になるとのこと。皆さんもぜひ神秘的な「千年クロベ」と、栗駒山の紅葉を楽しんでほしいと思います。
ただ、くれぐれも千年クロベには触ったり、根元を踏んだりしないよう、優しく眺めてくださいね。
☆写真は、「千年クロベ」と私♪
「アナ・ログ」、続いては佐藤拓雄アナウンサーです。