佐藤 拓雄
2023/04/12
幼いころから「本の虫」で、小学生の時は本を読むために早起きしていたような子どもでしたから、今回のお題は書けることがたくさんありますが、その中で、幼稚園児のころ繰り返し触れ、今も忘れられない絵本のことを書きます。
「うちゅうせんペペペペラン」・・・タイトルからして不思議です。
「ドレミファブック」という、レコード付きの絵本で、絵と文字に加え、朗読のレコードで物語を楽しむ、というシリーズ。そのなかの一つに入っていました。
シリーズ全体では、明るく分かりやすい、子ども向けの話がほとんどだったと記憶していますが、そのなかで、この「うちゅうせんペペペペラン」だけは、明らかに毛色が違い、異彩を放っていました。
「しろいひげのおじいさん」がどこからともなく現われ、子どもたちに「ペペペペラン」という名前の宇宙船の話をし始め・・・というお話。
なんとも不気味な話で、本当に怖かった・・・
謎の多いストーリー、抽象的な絵、レコードから流れてくる、おじいさんや語りの女性の声の気味の悪さ、そして、今でも歌える、不思議なメロディーの歌。
「きがふれた」という言葉に出会ったのもこの本が初めてでした。なんという恐ろしい言葉だろう、と思ったことを今も忘れられません。
宇宙あるいは暗闇というものへの言い知れぬ恐ろしさを感じたのも、この本がきっかけだったような気もします。
それなのに、怖いもの見たさなのか、何度も何度も、絵本を手に取り、レコードに耳を傾けてしまうのでした。
悪魔に魅入られたように、「魔力」のある作品、とでも言ったらよいでしょうか。あるいは、恐怖の虜になってしまった、と言えるかもしれません。
文字を目で追い、自分自身でイメージを作りながら読み進めていく「王道」の読書体験ではなく、レコードの音声にあわせて絵本に見入る、総合的な、五感で感じた読書体験だったから、いわく言い難い恐怖感など、感覚的な記憶として、私の中に強く残っているのかもしれません。
ネット検索してみたら、いくつも出てきました。
私のように怖い思いをした人もやはりいたようです。
さらには、いいのか悪いのか分かりませんが、レコード音声と絵本の動画もありました。
思わず再生してしまい、一気に幼児期に引き戻されました。
私の記憶と違っている所はほとんどなく、いい年をした今でも、やっぱりゾッとしてしまいました。(笑)
驚いたのは、「作・脚色 谷川俊太郎」「おじいさん 益田喜頓」。
そんな大物の方々の作品だったとは知りませんでした・・・
【写真】は内容と全く関係なく、近所の桜です。今年もきれいに咲き、きれいに撮影できたので。
明日は、この4月でアナウンサー2年目に入った、千坂紗雪アナウンサーです。